フクちゃん、ホウキを持ってやってきました

ドクダミの茎葉が、庭いちめんに伸び、
白い四弁の花を咲かせている。
ブルーべリーを植えたところにも、
垣根の下にも、
梅花うつぎの根方にも、
ドクダミが盛んに生えている。
ドクダミ茶を作るのは、今が適期だ。
ドクダミを根元から摘んで、陰干しする。
古いアルミサッシの網戸を陰干し用に使うという名案は、
昨年気づいて今年もやっている。
3枚の網戸を工房に横たえ、その上に摘んだドクダミの茎葉を広げた。
からからに乾けば、保存して、
ドクダミ茶と麦茶と合わせて煎じる。
ドクダミ茶、一年分をつくる。



フクちゃんがやってきた。
玄関ドアを開けて、立っていた。
ママは後ろに立っている。
フクちゃん、ほうきを持って。
かっこいいな、つば広ハット。
ハットかぶって、ほうきを持って、
おう、おう、たのもしい、カウボーイ姿だ。
フクちゃん、この前より大きくなった感じがする。
ほうきを持っていくと自己主張して、家から手放さないでやってきたんだな。
言葉を話せなくても自己主張はできる。
フクちゃん、ほうきが大好きで、
一時間でも床を掃いていますよ、
とママは笑う。
フクちゃんは、玄関を掃きだした。
おう、おう、かっこ、いいな、そのハット、そのほうき。
魔法のほうきは魔女がまたいで乗る。
魔法のほうきを持てば、フクちゃん 魔王だな。
強い男だ。
フクちゃん、自信満々、
存在感を示して、小さな仁王立ちだ。

ママは、フクちゃんを置いて出かけていく。
強いフクちゃんは、ほうきを立てて、ほうきに両手を置いて、
両足開いて、黙ってママを送り出した。



魔法のほうきを玄関に置くと、
フクちゃんは家に入った。
今日は何をして遊ぶかな。
まずは、椅子遊び。
ばあばを椅子に座らせて、フクちゃん、押します。
押して、押して、窓まで押し付けます。
次は空椅子の回転遊び。
椅子をぐるぐる回します。
ここは我が家だね。
ここには、おじじと、おばばが いる。
ソファに乗ったフクちゃんに、ばあばがクッションを押し付ける。
フクちゃん、クッションをやっつける。
ばあばが、叫び声を揚げて二つ目のクッションを押し付ける。
やっつけろ、やっつけろ。
抵抗するフク魔王。
ゲラゲラ ゲラゲラ 笑い出した。



食事は、焼きそば。
食べましたよ、今日も。
そばも野菜も肉も。
もぐりもくり、その食べっぷり。
食器と口との距離、10センチ。
こんなに近かったら、食べ物の匂いが食欲をそそるね。
豪快に食べました。