草刈り

<写真・黒豆>


 雨続きで草がぼうぼうと生え、今年の夏は何度も草刈りをした。8月の終わりごろから、草刈りができていなかったが、昨日はさわやかに晴れ、今朝は気温も低く、久しぶりで、肩から吊るした草刈機を回して刈った。
 草刈機は、二年前から円盤をはずして紐式に換え、長さ20センチほどの2本の硬いプラスチック紐を回転させて刈っている。この方式にしてからは、危険が少なくなり、音も小さくなった。難点は、紐に切られて飛び散る草の断片が着ている服にくっついて、全身が草だらけになることだ。だからヤッケの上下を着て草を刈る。
 ガソリン25にオイル1の割合の混合燃料をつくり、機械のタンクに入れる。エンジンは一発でかかった。チェーンソーに比べて調子がいい。作業着の上からヤッケを着ると、気温は涼しかったが、体は熱く、汗が噴き出てだらだらと流れた。
 道路際の草、庭の草、畦の草とブンブン回して刈っていく。ドウダンツツジの枝のなかにアシナガバチが大きな巣を作っていた。蜂たちは、巣を攻撃されないかぎり、襲ってこない。だから、こちらも木に触らないようにしてその木の根元の草は刈るが、できるだけ蜂さんの生活を妨害しない。けれど、お盆に息子たちの家族が帰ってきたとき、孫が刺されないように、通り道に近いところの巣は取り除いた。そのとき、思わぬところに巣づくりしていたのに気づかないまま、巣を移動させたら、手袋の上から右手の薬指をチクリと来た。痛いというほどではなかった。急いで刺されたところをしぼり、ヨモギの葉っぱとドクダミの葉っぱをもんで塗りつけた。刺されたところは腫れもしなかった。
 先日、ランがいつも昼を過ごす工房の軒下の雨戸の裏にも大きな巣があったから、夕方暗くなったときに、蚊取り線香に火をつけて巣の下におき、煙が巣に届くようにしたら、申し訳ないが蜂は次々と撤退した。ところが、2、3匹の責任感の旺盛な蜂が巣にとどまって、巣の中の幼虫を守っていた。煙が来ても、少しうろたえるが頑強に巣を堅持して、守り続けている。その日一回限りの蚊取り線香だったから、結局、数日後には避難していた仲間も帰ってきて、またもとのように、何匹もの蜂が巣の上にいて、幼虫を育てている。
 庭の木の間を草刈機で刈っていくと、クモが木と木との間に巣をはっている。そこを通過するときは、こちらの顔にクモの糸がはりついてくるから、これも巣を破壊しないように頭を下げたりして、巣の下を通り抜けていく。どうにもならないときだけ、「スマンなあ」とクモに謝って巣を払う。クモにとっても、この庭は楽園だ。たくさんのクモがいる。
 今年はカマキリをとうとう見かけなかった。
 庭にも畑にも、メヒシバが繁茂している。いま先端に種をつけている。草刈機でバーンと刈り取る。
 草の中からカボチャが現れる。今年は、うまく熟したかどうか。熟成するまでに茎が切られたりしているから、おいしいのが収穫できるかどうかいまのところ不明。
 庭の畑で秋播き野菜で元気のいいのは大根かな。種を播いて数日で元気よく芽を出す。これが気持ちよい。白菜も芽の出がよい。
 ベトナムの青年たちがくれた、ベトナムの野菜の種がどっさりある。これをどうしようかと、思案している。一つの種袋の写真からすれば、どうも小松菜のようでもあるが、説明文はベトナム語だから分からない。栽培して彼らのところへ差し入れしようかと考えている。