「そこにあるヤツ、いくらしますか?」
若い女性が言う。その「ヤツ」というのは店の商品の一つ。
テレビで音楽談義をしている。
「私の好きなヤツはショパンの協奏曲です。」
何? 何? ショパンの曲を「ヤツ」と呼ぶのか?
この「ヤツ」表現、よく聞く。使っている人は無意識に日ごろの言葉が出ているという感じだ。自分で全く気付いていない。
「ヤツ」は「奴」、もともと人を卑しめていう言葉だ。どうしてこうも無神経なのか。テレビ登場のスタッフも時にこの言葉を使っている。
無神経言葉、次は「外人」。これまた無神経にTV司会者まで使っていたことに驚く。広辞苑では、「外人」は、仲間以外の人、敵視すべき人、外国人のこと、と出ている。日本では、過去、外国人が少なかったから、日本人以外は「外人」と呼ぶ傾向が強かった。日本人同士は「内」の人、外国人は外の人「外人」と呼んだ。別の民族を「外の人」にしてしまう。民族差別を感じさせる言葉だ。