まだ少し豆の選別が残っていた。
枝の一部、カラのさや、さやに納まったままの豆、
それらがごっちゃになっている。
そこから黒豆だけを取り出す最後の作業。
風があれば、風に飛ばすのだが。風がない。
ブルーシートに残っていた混然としているそれらから、黒豆だけを取り出す
いい方法はないか、
考えた。
そこで「転がし法」。
少しずつ箕(み) に入れて、
箕を傾斜させてゆする。
豆がコロコロ転がって、下の箱に落ちていく。
豆を「煎り豆」にした。
古いフライパンに5合ほど豆を入れて、中火にかける。
パチパチと豆のはじける音がすると、木のしゃもじで、かきまぜる。
はじけた豆は、皮の真ん中が切れて、中の黄色い大豆の部分が少し現れる。
しゃもじを、急がずあわてず、回し続ける。
豆のいい香りが少しする。
パチ、パチパチ、
しゃもじを回し続ける。
パチパチの音が少なくなってきた。
ほぼ、全部の豆に火が通ったかな。
もういいか。
ニ三粒、取って口に入れる。
炒りたての豆の味は、格別おいしい。
天然の味は、すばらしい。
煎り豆を、黒酢につけて、やわらかくなったら、
毎朝、食事のスプーンに一杯。