炎天が広がり、カッコウの声がほぼ消えた。ヨシキリも声を聴かず。モズも姿見えず。
オオヨシキリが盛んに鳴いていた時、妻が「分かったあ」と叫んだ。
「何?」
「あのヒナは、オオヨシキリのヒナだったんだ」
カッコウやオオヨシキリはモズの巣に、托卵する。昨年、親モズが巣立ちしたヒナに、餌の虫をやっていた。そのヒナが、親モズの体より大きいか同じぐらいか、てっきりカッコウが托卵した子だと思っていたら、餌をねだる声が、ぎょうぎょうしい。おかしいな、と思っていた。
今年、分かった。あのヒナは、オオヨシキリのヒナだったのだ。ギョギョシ、ギョギョシ、とヨシキリは鳴く。だから俳人はヨシキリを行々子と呼ぶ。親鳥のモズは、それとは知らず、せっせと餌を運んでいた。
「あのヒナはオオヨシキリの子だった。」
梅雨が明けたら、猛暑の到来。鳥たちも森に避暑に入った。