菊芋

 

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菊芋が、たくさん穫れた。毎日、少しずつ食べている。整腸作用があり、血糖値を下げる。心筋梗塞脳梗塞、糖尿病の予防にもなる、ガンにも効果があると言う。「名医の太鼓判」とも言われる芋だ。

我が家では、電子レンジでチンをして、みそだれをつけて、食べている。フライもいい。

地元物産センターでも売っているが、地元の人はあまり食べていない。

 

その菊芋の詩を発見した。宮沢賢治全集にあった。

 

    菊芋

八月の末までは

何の収入もないときめた

この荒れ畑の切り返しから

今日はどうしてこの収穫だ

三十キロでも利かないような

うすい黄色のこの菊芋

槻の向こうに日が落ちて

 つめたい風は西から吹き

遠くで叫ぶ子どももある

あしたもきっとこれだけとれ

あさってだってとれるだろう

エルサレムアーティチョークとさえ言えば

大ひまわりの あのいかめしい形が浮かび

トビナムボーとかトビナムブルーとそう言えば

イヌリンや果糖を含む

この塊根を暗示する

けれどもここらあたりでは

誰も 一人も 買い手がない

結局おれが

焼いたり 漬けたり

毎日毎日食うだけだ

おれがほんものの清教徒なら

あるいは佐藤正五郎氏のように

百パーセントのおさむらいなら

これこそ天の恵みと考え

町あたりから借金なんぞ一文もせず

八月までは

黙ってこれを食うはずだ

ただしそれでは必ず参る

参って死んでしまっても

動機説では成功と言う

ところがおれのこのごろは

動機や何かの善よりも

行程をこそ重しとする

そこでやっぱり本なども売り

ぼろぼろ借金などもして

あいまいな暮らしようをするというのは

すでに魔道というものだろう

とにかく汗でがたがた寒い

道具を集めて

早く帰って火を焚こう

 

 

  「槻」はケヤキの古名だ。