花も悼んでいる

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 今朝、五時過ぎ、両手ストックをついて散歩に出る。

 「野のベンチ」に座って、山の歌を歌う。

 二号ベンチの横に植えた、ムクゲの白花が十輪ほど咲いている。

 野の中の一本のムクゲ、白花。

 少し歩く。稲田の水を調整するために、畔を歩いている高齢の男性が声を掛けてきた。

 「犬、どうしたんだい?」

 わけを話す。

 「土葬かい。」

 「そう、庭に埋葬してやりましたよ。」

 「そうかい、そうかい。」

 しばらく行く。柴犬のカイトが来た。おばさんは、洋子から聞いて、もう知っている。

 「ランちゃん、かわいそうだったね。」

 すり寄ってきたカイトの頭、背中をなでる。

 「カイト、元気だね、元気だね。」

 そこでまた、土葬の話が出た。

 「庭に埋葬して、墓をつくってやりましたよ。」

 そして、おばさんに、オミソちゃんの不思議話をした。

 するとおばさんが、こんなことを言った。

 「あのベンチの隣のムクゲ、あの花、ランちゃんが亡くなってから咲きだしたね。ランちゃんを悼んで咲きだしたね。」

 

 ムクゲの花もランの死を知って、悼んでいる。