2023-01-01から1年間の記事一覧

恐ろしい崩壊が近づく

今朝の朝日新聞社説「もう議員の資格はない」 札幌法務局が人権侵犯に当たると認定した自民党国会議員・杉田水脈の発言、朝日の社説記事は、「議員の資格はない」と告発している。 次のような趣旨である。 国連の会議に日本から参加した人たちを、『チマチョ…

突如、秋到来

この夏の猛暑、水不足だったが、ナツメ(棗)の樹はたくさん実をつけた。 旱魃気味の初期にできたナツメの実は小さく、既に茶色になり、水分が少なくて、しょぼくれている。あとからできた白っぽく薄緑の実は、ときどき水を樹の根元に補給してやったこともあ…

野坂昭如の絶筆

「火垂るの墓 」の原作者、野坂昭如は、2015年、85歳で亡くなった。「絶筆」という日記を残して。 以下、「絶筆」から。 「〇月〇日、日本はエネルギー源を持たざる国、だから世界第二の工業国たりえた。21世紀、日本とアメリカはエンジン・カントリーたりう…

「Ora Orade Shitori egumo」

妹とし子は臨終のとき、賢治につぶやく。 「Ora Orade Shitori egumo」 「無声慟哭」のなかの宮沢賢治の絶唱「永訣の朝」。 ほんとうにけふ おまへはわかれてしまふ ああ あのとざされた病室の くらいびやうぶや かやのなかに やさしくあをじろく燃えてゐる …

彼は逝きぬ

60年も前の、淀川中学校時代の教え子、萬代君は、「夕映えのなかに」を、しっかりと読んでくれた。卒業後の彼とは会うことも、文を交わすこともなかったが、この本を読んで感想文を送ってきて、同窓生の情報をいくつかメールで知らせてくれた。ぼくが「夕映…

この夏、この地球、この人

雨の全く降らない日が続き、庭の畑の水やりが朝夕大変だ。田んぼに水を送る水路が道の脇を流れている。そこへ一輪車を押していき、大きな容器にバケツで水をくみ入れて、運んでくる。畑に戻ると小型バケツに入れ替え、ナス、キュウリ、ゴーヤ、ピーマン、イ…

「野生の祈り」

バートランドラッセルとアインシュタインが共同で出した声明、1955年、その一部。 「厳しく、恐ろしく、そして避けることのできない問題、それは、我々が人類に終末をもたらすのか、それとも人類が戦争を放棄するのか、という問題である。あまりに難しいので…

 「マーシャル諸島 核の世紀」 2

人類初のアメリカの水爆実験は、マーシャル諸島で1952年に行われた。ニューヨークタイムズが、アメリカ軍兵士の目撃談を伝えている。その一部を要約。 「爆発地点から60キロ、自分は艦船の上にいた。全員防護服を着て、爆発地点に背を向けて目を閉じ、両腕で…

「マーシャル諸島 核の世紀」 

「マーシャル諸島 核の世紀 1914~2004」(上下巻)は、膨大な歴史の記録だ。著者は、フォトジャーナリストの豊崎博光氏。 2005年の出版だが、雲行き怪しい現代、多くの人に知られねばならない記録が多く収録されている。 その一部をここに要約する。 マーシ…

子どもたちの夏休み

子どもたちの夏休みも終わる。 自由を謳歌し、好奇心をかきたて、学校から解放されて、冒険、探検を楽しむ、それが子どもたちの夏休み。それが私の夏休みだった。 では今の日本の子どもたちは、どんな夏休みを送ったのだろう。 ぼくは「夕映えのなかに」に、…

犬の心、犬の育ち

、 動物行動学のマイケル・フォックス博士(イギリス)は、「イヌのこころのわかる本」(日本語版は朝日文庫)を著わしている。その中の一文を紹介しよう。 フォックスが学生だった時、ノーマン・プライシャーという友人がいた。その友人は研究所で、イヌた…

愛ちゃんのストライキ

早朝と夕方、野をぐるっと一回りして、我が家の前を通り過ぎ家に帰って行く二匹の犬を連れた若いご夫婦に出会う。犬は、薄茶がかった白いラブラドール犬のサニーと、ネコほどに小さい黒犬、愛ちゃん。サニーは23キロほどあるかな。ひじょうに人懐こい。ぼく…

子どもの命を奪う戦争

子どもにとって戦争は、逃れようのない恐ろしい苦痛、恐怖、悲嘆の世界である。 第二次世界大戦の末期、満蒙開拓団の「満州」からの逃避行、子どもは邪魔になる、危険だと、命を奪われたり、捨てられたりすることがあった。沖縄戦でも同じようなことがあった…

核兵器使用の危機 2

次に、アメリカの核実験がもたらした被害はどうだったか。 第二次世界大戦が起きると、アメリカは原爆をつくるマンハッタン計画を急いだ。「ドイツも原爆をつくろうとしている、それよりも早く原爆を作れ」、アメリカはイギリスと研究を共にし、その結果、ワ…

核兵器使用の危機

プーチンが、核兵器の使用をにおわせてきたということは、その使用があり得るということである。 1999年、20世紀最後の年に、読売新聞社は「20世紀 どんな時代であったのか 戦争偏・日本の戦争」という書を出版した。そこにソ連時代の核兵器開発とその後の歴…

日本敗戦 「昭和万葉集」8月15日

1945年8月15日 日本敗戦 今日、「終戦記念日」、正午に全国戦没者追悼式が日本武道館で行われた。 かの日、天皇の放送によって、人々は敗戦をどのように理解し、思い、感じただろうか。かつて講談社が出版した「昭和万葉集」には、その日の想いを伝える歌が…

中野孝次の思想

「理想的社会など、ついに実現しないかもしれない。科学の進歩と人智の限りない発展が信じられていた19世紀後半にエンゲルスが夢想したような楽観的未来像は、われわれはもう信じることはできない。科学がその発展の極限に、世界を20回も破滅させるに足る兵…

かの日、夜行列車で

1950年代後半ごろ、日本は登山ブームで湧いていた。ぼくは大学山岳部員で、大学が夏休みに入ると、毎年、穂高岳山群や剣岳山群で 一週間合宿し、続いて北アルプスを縦走した。登山計画は、お盆の前後は列車も山も混むから避けていた。 ところが8月10日過ぎて…

歌「田舎の四季」

私が小学生の頃、ラジオから流れてくる歌に聞き耳を立てた。初めて聞く歌だったが、四季の農村生活を歌い、懐かしい感じがする。不思議なことに一度聞いただけなのに歌は記憶の中にとどまり、ときどき口をついて出てくる。だが、4番まで歌詞全部は正確に覚え…

終戦の日のこと

僕は青年の頃、串田孫一の山野の随想集をよく読んだ。 彼は30歳の頃、大学で教鞭をとっていて、東京大空襲に遭い、山形県新庄から一時間ばかり秋田の方に入った荒小屋という部落に移り住んだ。米軍の空襲は全国に及び、東北地方でも主要都市は空襲で焼けてい…

ヒロシマ原爆慰霊、平和式典に思う

今朝も暑い。午前4時頃起きて、畑の水やりをした。畑の作物も庭の木々も水を求めている。 午前8時、ヒロシマ原爆慰霊、平和式典のテレビ中継を見ながら、西南西の方角に黙とうをささげた。長年続けてきた行為だが、今朝は中継を観ながら感じるものがあった。…

「黒焦げの弁当」 8月6日

8月6日、カンカン照りの暑い日だった。私は国民学校二年生、大阪の南河内、祖父母の家に疎開して暮らしていた。その日、ぼくは家の裏に接する仲哀天皇陵の濠に入って、遊んでいた。原爆投下があったというニュースも知らなかった。 初めて広島の原爆資料館を…

山尾三省を偲ぶ  3

屋久島の森には、樹齢五千年、六千年と推定される老杉が自生している。縄文杉は七千二百年と推定されている。三省は、この杉を「聖老人」と呼んだ。 屋久島の森を営林局は伐採してきた。残った縄文杉をどう守るか、これが三省の大きな目的になった。それはこ…

山尾三省を偲ぶ  2

山尾三省は詩を書いた。 「国(くに)」ではなく「郷(くに)」と書いた。 「びろう葉帽子の下で」、その十八 びろう葉帽子の下で 絶望という言葉を みだりに使ってはならない 絶望とは まさしく 死に至る病にほかならぬのだから びろう葉帽子の下で 何万年…

山尾三省を偲ぶ

1960年代から、山尾三省(詩人・思想実践家)は屋久島の廃村に住んで、次々と著作を世に出した。彼の本に魅せられ、吸い寄せられたぼくはそのほとんどを読んだ。彼は「部族」というコミューンづくりを描いていた。 「全世界をおおいつくしている中央集権的な…

不思議な夕暮れ

昨日の夕方、入道雲が広がってきて、雷が鳴りだした。庭の木々や畑の野菜にとって、いい雨になりそうだ。 太陽は西の北アルプスの峰に沈み、雨粒がぽつりぽつり落ちてきた。いいぞ、いいぞ、だが雨粒はそれ以上続かなかった。 6時半過ぎ、ひとしきり轟いてい…

崩壊する世界

ときどき新聞に載る、佐伯啓思「異論のススメ」。彼の論には読ませる力がある。かつてこんな文章があった。 「今日、西洋の思想や科学が作り出したグローバルな世界は、ほとんど絶望的なまでに限界に向けて突き進んでいる。新たな技術を次々開発し、経済成長…

井伏鱒二「黒い雨」から 3

「ぼくは揖斐町へ向かって線路伝いに歩いた。焼け跡に近づくにつれ、立ち上る火葬の煙が次第にまばらになっていた。枕木に落ちる自分の影を追いながら、ふと振り向くと、薄曇りの空に、鈍く光る太陽を白い一本の虹が横ざまに貫いていた。珍しい虹である。 顔…

井伏鱒二「黒い雨」から 2

‥‥‥ 矢須子が「おじさん」と叫んで、何かにつまずいて前のめりになった。煙が散るのを待って見ると、死んだ赤ん坊を抱きしめた死体であった。ぼくは先頭に立って、黒いものには細心の注意を払いながら進んだ。それでも何回か死人につまずいたり、熱いアスフ…

井伏鱒二「黒い雨」から  1

プーチンにはかなり深刻なものを感じる。核兵器の使用へのプーチンの言及がこれまであったが、彼は暴挙に走る危険性をもっているように感じる。 井伏鱒二著の「黒い雨」を若い人たちに読んでほしいと思う。「黒い雨」は、「ヒロシマ原爆」の悲惨を、詳細なデ…