恐ろしい崩壊が近づく

 

 今朝の朝日新聞社説「もう議員の資格はない」

 

 札幌法務局が人権侵犯に当たると認定した自民党国会議員・杉田水脈の発言、朝日の社説記事は、「議員の資格はない」と告発している。

 次のような趣旨である。

 

 国連の会議に日本から参加した人たちを、『チマチョゴリアイヌの民族衣装のコスプレおばさんまで登場。完全に品格に問題があります。』などとブログに書いた。また、同性カップルを『生産性がない』と雑誌に投稿したり、性暴力対策を議論する党の会合で、『女性はいくらでもウソをつける』と発言したり、人権感覚が疑われる言動を再三、繰り返してきた。

 その杉田水脈は、昨年夏、岸田内閣の総務政務官に起用され、アイヌ民族揶揄する投稿で、札幌法務局から「人権侵犯」を認定されても、自民党は環境部会長代理に起用することを決定した。 自民党は総務会を開き、政府が提出する法案の審査や政策立案を行う党の部会長などの人事を決め、環境部会長代理に杉田水脈衆院議員を起用することを決めた。 札幌法務局から「人権侵犯」を認定され、厳しい批判があったが、杉田水脈本人のコメントは何もない。4年前にできたアイヌ施策推進法は、アイヌの人々が誇りを持って暮らせる社会の実現をうたい、差別を禁じている。国会議員がその理念を踏みにじるとは、とても許されない。在日コリアンへの差別意識も看過できない。このような人物を擁護し、優遇してきた自民党は人権侵犯に加担していると見られても仕方がない。

 

 政治家の資質が問われつづけているが、いっこうに変わらない日本。知識、思想の欠落、感性、人間性の歪み、欠陥人間が政治を掌握し、権力を握り、国を動かしている。

こういうニュースを、国民はどれだけ知っているか。

 2017年に内田樹が慨嘆していた。

 「今の若い人はほとんどテレビを見ません。新聞も読まない。神戸に住む40代の親たちがもう新聞を取っていない。今新聞を読んでいる、テレビを観ているというのは60代以上です。

  大学は腐臭を発し始めた。定員割れの学科を抱えている大学は、すでに全体の50パーセントに達しました。教育予算も年々削られている。学術的活動性の指標である人口当たりの論文数はOECD最下位です。腐ったシステムが崩れ出すと、もう止められない。」

 このような状況の中で、若者たちは世界観を形成するための、必要な情報をどこから得て、日本や世界や人間を認識しているのか。

 杉田水脈のような人間が議員になれる社会になってしまっていることに危機感を抱く人も激減してしまっているとしたら、恐ろしい崩壊がはじまるだろう。