日本敗戦 「昭和万葉集」8月15日

 

    1945年8月15日 日本敗戦

    今日、「終戦記念日」、正午に全国戦没者追悼式が日本武道館で行われた。

    かの日、天皇の放送によって、人々は敗戦をどのように理解し、思い、感じただろうか。かつて講談社が出版した「昭和万葉集」には、その日の想いを伝える歌が掲載されている。

 

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万世ノタメニ 太平ヲヒラカムと 宣(の)らせたまふ天皇陛下 わが大君

                            斎藤茂吉

 

戦ひに果てし我が子も 聴けよかし かなしき詔旨 くだし賜(た)ぶなり

                            釈超空

 

炎天の焦土に声なし 一切のことやみたりと われ声をのむ

                            鹿児島寿蔵

 

父母の泣けば 幼き子らまでが ラジオの前に声あげて泣く

                            高見楢吉

 

玉音に泣き伏しゐしが 時ありて 児(こ)らは東京へ帰る日を問ふ

                            永山嘉之

 

あな うれし とにもかくにも生き延びて 戦(たたかい)やめて 今日の日にあふ

                            河上肇

 

三人(みたり)の子 国に捧げて哭(な)かざりし 母とふ人の号泣を聞く

                            三上範子

 

ことごとく われらだまされ この日まで ひきずられしと いきどおほり いふ

                            内田穣吉

 

老いの身の 命のこりて この国の戦ひ敗(ま)くる日を まさに見つ

                             対馬完治

 

おそかりし終戦のみことのり われよめば 焦土の上の被爆者は哭く

                            秋月辰一郎

 

憤り(いきどおり)新たに湧き来 新たなるこの憤り 明日をささへよ

                            前川佐美雄

 

開け放ち 庭木に燭を差しのべて この安けさは いく歳(とし)ぶりぞ

                            保科千代次

 

 

 戦後78年、なおもこの日の歌は、心に激しく響いてくる。