道で出会った人

f:id:michimasa1937:20130817184328j:plain

 今朝、野の道の向こうに、赤いズボンに白いシャツを着た女性らしき姿を見た。近づいていくと、やはり女性で、彼女は道にしゃがんで、何かを見ている。

 何をしているんですか、問いかけると、「みみ‥」なんとか、わけの分からない言葉を言った。地面を見るとミミズが這っていた。

 「ああ、ミミズを見ていたんですか。」

 「はい、ミミズ」

 外国の方だな、そう思ったぼくは、

 「どちらの国から来られたんですか。」

と尋ねた。初めきょとんとしていたが、意味がつかめたらしく、

 「タイワン」

と言った。

 「ああ、台湾から来られたんですか。」

 「はい、タイワンから来ました。」

 日本語があまりよく分からないようだから、ぼくも分かりやすいように、ゆっくり質問を繰り返していくと、日本に来て一年、結婚してこの近くに住んでいる、日本語は自分で勉強しているということが分かった。

 「わたしは、日本語を教えています。日曜日の夜、7時から堀金公民館で教えています。来て勉強しませんか。以前、中国人に教えていました。今ベトナム人に教えています。」

 「ああ、センセイですか。わたし、勉強したいです。」

 「来てください、勉強しましょう。」

 しばらく話を交わして別れた。

 少し行って振り返ると、彼女はまた道にしゃがんで、何かを見つめていた。

 公民館に来るかしらん、日曜日の夜だから、旦那がOKするかだなあ。公民館まで送り迎えもしてもらわないといけないし、理解のある旦那だったらいいが。以前、中国人の女性で同じように結婚してこの地に住んで、日本語教室に来始めた人がいたが、夫婦の関係が悪化し、分かれてしまった。たぶん女性は国に帰ったと思う。

 自分の意思や感情を、相手に伝えられないと、関係が険悪化したとき、どうしようもなくなる。以心伝心なんて、限界がある。結婚という重大なテーマを、若い時の一時の考えでやってしまい、そのあと、二人の関係を作り上げていく努力をしなかったら、破綻がやってくる。ご近所や地域社会に、支えてくれる人ができたら助かるのだが、なかなかむずかしい。

 

 今晩、日本語教室だ。 ディン君が待っている。それにしても、台風10号の余波が気になる。どえらい台風だぞ、まったく地球は大変な状態になってきた。