世界を覆いつくすかのようなコロナウイルスの脅威。それを考えていると、あの映画が頭に浮かんできた。
グレゴリーペック主演の、「渚にて」。かなり以前の映画だ。
1964年、第三次世界大戦が勃発し、核爆弾が使用された。世界は滅亡に向かう。放射能は北半球を汚染し、生物は壊滅。海の中にいたアメリカ軍の一隻の原子力潜水艦は、放射能がまだ来ない南半球へ逃げ、オーストラリアのメルボルンに入港する。だが、放射能汚染は南半球にも迫ってくる。死は時間の問題だ。
乗組員は、同じ死ぬのなら故郷の地で死にたいと、それぞれの故郷へ潜水艦を移動させ、その地に近づくと浮上して、艦から下ろしていった。地上を見ると、街には人っ子一人見えない。みな死に絶えていた。陸に上がった乗組員は、最後のひとときを釣り糸を垂れたりして浜辺で過ごす。そのシーンが心にしみた。
その映画を思い出すと、連想はチェルノブイリ原発事故に移った。あの事故で放射能を含んだ空気は西のヨーロッパ諸国に流れ、大きなパニックを引き起こした。
また連想は、福島原発事故に移った。
そしてコロナウイルス。
文明が引き起こす、人類の危機。
だが、国家のエゴは今も滅亡のシナリオを書きつづけている。