霧の朝

f:id:michimasa1937:20121023193554j:plain

 

 今朝は五時半にランと散歩に出た。まだ明けていないが、薄暗がりのなかに夜明けの気配がある。深い霧が出ている。

 霧は、位置によって濃淡がある。道は見えていたが、五十メートル離れたところは見えない。

 歌が湧いてきた。子どものころ何度か聞いて覚え、今もひょいと頭に湧いてくる歌がいくつもある。

 霧の日は、霧の歌が頭に浮かぶ。

 

  霧だ― ほうい ほい

  朝霧だー ほうい ほい

  霧の中から 日が出てくるよー

  だれか どこかで ほうい ほい

  朝霧だ ほうい ほい

 

 途中から北に折れて、一号ベンチのところに来て、木を指で触ると、濡れていたから、座れない。二号ベンチはもう完成しているから防腐剤を塗って、三百メートルほど東の分かれ道のところに設置しよう。それが終われば、三号ベンチづくりだ。

 

 白樺の葉はほとんど落ちた。夏ツバキも桂も黄色くなった。上高地の徳沢園の桂は、とっくに葉を落としただろう。一夜ですべての葉を落とすという話を聞いたことがある。

 歩いていると、どういうわけか、歌「ウイ シャル オーバーカム」が頭にに浮かんできて、声に出た。今では遠い過去ととなった1970年、激しい運動のさなか、若い同僚の男女二人が結婚した。結婚を祝う会を開き、そこでぼくは「ウイ シャル オーバーカム」を独唱し、みんなで繰り返し合唱した。新婦の目に涙があった。

 あの時の仲間たちも、今は孫たちに囲まれていることだろう。

 

 西山の霧が薄くなり、常念岳が見えてきた。うっすら、モルゲンロートだ。爺が岳鹿島槍ヶ岳はすっかり白くなっている。