今朝は五時半にランと散歩に出た。まだ明けていないが、薄暗がりのなかに夜明けの気配がある。深い霧が出ている。
霧は、位置によって濃淡がある。道は見えていたが、五十メートル離れたところは見えない。
歌が湧いてきた。子どものころ何度か聞いて覚え、今もひょいと頭に湧いてくる歌がいくつもある。
霧の日は、霧の歌が頭に浮かぶ。
霧だ― ほうい ほい
朝霧だー ほうい ほい
霧の中から 日が出てくるよー
だれか どこかで ほうい ほい
朝霧だ ほうい ほい
途中から北に折れて、一号ベンチのところに来て、木を指で触ると、濡れていたから、座れない。二号ベンチはもう完成しているから防腐剤を塗って、三百メートルほど東の分かれ道のところに設置しよう。それが終われば、三号ベンチづくりだ。
白樺の葉はほとんど落ちた。夏ツバキも桂も黄色くなった。上高地の徳沢園の桂は、とっくに葉を落としただろう。一夜ですべての葉を落とすという話を聞いたことがある。
歩いていると、どういうわけか、歌「ウイ シャル オーバーカム」が頭にに浮かんできて、声に出た。今では遠い過去ととなった1970年、激しい運動のさなか、若い同僚の男女二人が結婚した。結婚を祝う会を開き、そこでぼくは「ウイ シャル オーバーカム」を独唱し、みんなで繰り返し合唱した。新婦の目に涙があった。
あの時の仲間たちも、今は孫たちに囲まれていることだろう。
西山の霧が薄くなり、常念岳が見えてきた。うっすら、モルゲンロートだ。爺が岳、鹿島槍ヶ岳はすっかり白くなっている。