2017-01-01から1年間の記事一覧
マドリード市内に、カサ・デ・カンポというスペイン最大の都市の自然公園があることを知って、これは絶対この眼で見なければならないと、一日かけて行くことにした。面積は1750ヘクタールあるらしい。1750ヘクタールというと、どれぐらいの広さなのか、平方…
1939年5月、作品『ゲルニカ』はアメリカ合衆国に送られ、その年に第二次世界大戦が勃発する。『ゲルニカ』はニューヨーク近代美術館に保管され、ピカソ展はアメリカ合衆国内で開催された。第二次大戦が終わると、1953年、『ゲルニカ』はヨーロッパに戻され、…
「ゲルニカへのピカソの道」特別展を観たい。両手ストックを突いて、よく磨かれた石段を上っていった。ストックを突くと、痛む膝がいくらかカバーされて痛みが和らぎ、足どりも確かになる。 ソフィア王妃芸術センターの入口から階段下まで入館者の長い列がで…
「思想はやがて社会の動向を左右する力を失うのではないか、とぼくは悲観的なことを考えている。」 と池澤夏樹が言っている。無力を導くのは情報革命。 「これまでは交友、言語、制度、思想などが人間と人間とをつないできた。資本主義になってから金銭の媒…
ほぼ毎日、朝の一時間ほど整骨院へ行く。 院内に本棚があり、そこに「いのちの輝き フルフォード博士が語る自然治癒力」(翔泳社)という本が三冊並んでいる。「貸出します」ということなので、借りて帰って読んでいる。「オステオパシー」という考え方が書…
「忖度」という言葉がこのごろよく使われ、日本社会の傾向として意見が交わされている。 「人生にとって組織とはなにか」(加藤秀俊著 中公新書 1990年)という本に、「忖度の論理」という章があり、加藤は要旨こんなことを書いている。 「忖度は、他人の気…
我が家でウグイスの初音を聴くのは初めてだった。日曜日、朝食の時に、それらしき声が聞えた。まさかここでウグイスが鳴くはずがない。ここにきて12年が経つが、家でウグイスを聴くなんて一度もなかった。散歩して山手の方へ歩いた時には、数回聴いたこと…
一昨年、左ひざの軟骨を傷めた。腫れや痛みが出て、歩行に支障が出るようになり、二、三カ月は整形科の医師の治療を受けたが、軟骨の擦り減ったのはどうしようもなく、あとは自分で筋肉を鍛えて関節を保護するしかないということで、筋肉を鍛える運動を適度…
ずーっと、思い続けていることがある。 地元選挙区から出馬して、衆議院議員になり、次の選挙で下野したS氏のその後のすべてが、さっぱり分からない。さっぱり分からないけれど、道路際のあちこちにポスターが立てられている。ということは、次の選挙で出馬…
カラスが 巣をつくっています。 あんなに木のてっぺんに、 コウノトリみたいだ。 卵を温めているのか、 ヒナがいるのか、 ときどき親鳥が帰ってくる。 まだ芽吹かない木、 巣が丸見えだ。 木に近づくと、 親ガラスがけたたましく 警戒の声をあげた。 ボケの…
書物や新聞を読んでいて、ぽっとそこの文章が目にとまり、その一点に入りこむときがある。こちらの思考や感性に働きかけるものがその文章にあり、同時にこちらにもそれに呼応する受け皿があるからだ。 ある時、「そのとおりだ」と思ったのだろう。その文章を…
「ミシェル・フーコー/情熱と受苦」(ジェイムズ・ミラー)のなかに、こんな一節がある。 「『狂気の歴史』で、フーコーは、狂気というものについての認知が劇的な変化を遂げた、と説いた。狂人たちは、中世においては自由に歩き回り、敬意をもって見られて…
ヒトラーはドイツ敗戦間近のベルリン陥落直前に自殺を図る。そのとき、「(ナチズムは私とともに消滅するが)百年後に新たな思想が生まれるだろう。宗教のように新しいナチズムが誕生するだろう。」という予言を残したという。 ヒトラーはどのように考えてそ…
イーさんの「全句集」を読んでいて、青春時代の俳句と晩年近くの俳句と、変化しているのを感じるけれども、イーさんの俳句の芯は変わらず、感性変わらず。 おれも揚羽(あげは)この世へちょっと止まりに来て 灯蛾(ひが)よ俺死ぬときたぶん左向き 陽の風に…
1970年35歳のとき、イーさんに長男が生まれ、6カ月後、イーさんの息子は天に昇っていった。別の世界にいたぼくは、そのことも全く知らなかった。 イーさんは1963年に結婚し、1966年に長女、1973年に次女を授かっていることも、今になって知った。「わが友」…
イーさんの最期を教えてほしい、彼は何に苦しみ、どんな心境で逝ったのか、大学を卒業してから一度も会うことがなかった彼のことを知りたい‥‥、 ぼくの送った手紙に、小松さんは丁重な返事をくださった。それも「井筒安男句集」、「水焔句集 井筒安男追悼号…
「この前、どっかへ出かけておられました?」 「いつ?」 「日曜日は日本語教室からの帰り、月曜日はコーラスからの帰り、夜の九時ごろ。」 「どこかへ行ってたかねえ。どこだろ。」 「わたしが帰ってきたら、電気が消えて、真っ暗だった。」 「ああそうそう…
万葉集に、「わけのわからない歌二首」と題して、こんな歌が載っている。 我妹子(わぎもこ)が額に生ひける双六のことひの牛の鞍の上の瘡(かさ) 「我妹子」というのは男性が女性を親しんで言う言葉で、「子」はまあ言うなら「ちゃん」みたいなものかな。「こ…
どこへいったんだろう。 ニットの帽子がない。 耳も凍えるほど寒く、 特に吹雪の日には、 耳もおおえる、柔らかくて暖かいその帽子が役にたった。 どこへいったんだろう。 遠くまで朝の散歩の足を延ばし、 帰り道は頭に汗がにじみでた。 あのとき、帽子を脱…
四月に入った枯れ色の庭に、 スイセンがにょきにょき葉を伸ばし、つぼみを出し、 黄色い花がいくつか咲き始め、 毎年、ほんまにこの数十本のスイセンの、 しゃきっとした、みなぎる謹厳なやさしさに、 ほれぼれ、ほれぼれして、 敬愛の念をおぼえて、敬意を…
安曇野の西部、山沿いにいくつか温泉施設がある。 三郷の「ファインビュー室山」は、小山の上にあり、野天風呂から安曇野が見わたせる。湯の中で肌に触るとつるつるする。 改築された穂高の「しゃくなげ荘」は中房温泉に行く途中に源泉があり、そこから引き…
昨日、安曇野市役所の大会議室で、屋敷林フォーラムがあり、参加してきた。 基調講演は、信州大学の佐々木邦博教授が、緑地の役割と日本の緑地環境について話され、つづくパネルディスカッションでは、東京都武蔵野市、富山県砺波市、そして安曇野市のそれぞ…
人類は進化してきて今があるのだけれど、ほんとうにどうなんだろう。 「ある種のサルが人類に進化した。人類の決めては、直立二足歩行。これまでの説では、大人がまず直立二足方向を始めたことになっている。けれど、私はまず二足歩行に踏み切ったのは、大人…
昨年夏の「福島の子どもたちのキャンプ」で。 ★ ★ ★ 畑の向こうから大音声が響いた。電柱ほどのコンクリート柱、その先端に取り付けられたスピーカーが数キロメートル先まで声を届ける。緊急放送だ。 「安曇野市と安曇野警察から、行方不明者のお知らせです…
福島から高崎に自主避難した家族がいた。家の前に車を止めていた。通りがかった子どもが、福島ナンバーを見て、 「原発が来てる」 と言った。それからこんなことがあった。車のフロントガラスに、紙がはさまれている。取って見ると、 「福島に帰れ」 と書い…
今朝の朝日歌壇に次の歌が馬場あき子選の第一首に選ばれていた。 ホームより転落したる盲人の 犬を離せる刹那を思ふ 佐藤純 評に、「ニュースで周知の事件、転落する意識のなかで犬だけは助けようとリードを離した。そこに切実な思いがある。繊細な一瞬だが…
妹尾河童の小説「少年H]は作者の生い立ちを軸にして戦争の時代と戦後の時代を描いている。 食べるのにもこと欠く暮らしのなかでも、Hの父母は行き倒れの人にその日のご飯を削って恵みを施そうとする。それにHは反抗して釜の蓋を父に投げつけ、頭に怪我を…
ニュースが、天皇皇后のベトナム訪問を伝えている。両陛下は青年海外協力隊員と懇談し、ベトナム残留日本兵の家族らとも懇談された。帰路にはタイを訪れ、故プミポン前国王との最後の別れをなさる。 天皇皇后の「慰霊の旅」は1995年の原爆被爆地の広島と長崎…
待機児童問題、1年経っても変わっていないと、 武蔵野市を中心に、待機児童の問題に取り組んできた保護者が訴えている情報がとどいた。 4年連続で入園できず、兄弟が別々の園に入っている。子どもを保育園に送り届けるだけで1時間かかる。両親フルタイム正…
1961年に開園した奈良ドリームランドは、2006年に閉園となり、今は廃墟となっている。 ドリームランドの東に高句麗の僧・慧灌の創建とされ、天平時代、聖武天皇が伽藍を建立したという般若寺がある。西には在原業平が聖観音像を刻んで開基した不退寺がある。…