日本の根っこ、安曇野市の根っこ


 待機児童問題、1年経っても変わっていないと、 武蔵野市を中心に、待機児童の問題に取り組んできた保護者が訴えている情報がとどいた。
 4年連続で入園できず、兄弟が別々の園に入っている。子どもを保育園に送り届けるだけで1時間かかる。両親フルタイム正社員でも入園できない、保育園に入れず、親は仕事を辞めるしかない、保育園に入れたいが、申請もできない。
 全国の潜在的待機児童の解消には、およそ1.4兆円の追加予算が必要となるとか。

 もう一つ、ボウ君から届いた情報によれば、わが安曇野市もトンデモナイ状態になっている。平成29年度予算の総額は約413億円。4年連続で400億円越えの大型予算が組まれている。
そのなかに、次のような事実。

 28年度の補正予算
「保育園臨時嘱託 2703万1千円の減額」
 当初予算に計上していた保育士が応募しても集まらなかったために、予算から減額する。その数11名分。
 安曇野市の公立保育園18園の中で、当初の予定より11名も保育士が減少する。だから、フリーの主任が担任を持ったりして、この一年の保育を乗り切ってください、ということ。
 なぜ保育士が集まらないのか。有資格者はいるのに仕事に就く人が少ない。理由は給料が安いから。そして安い割には仕事が大変だから。安曇野市の場合、正規採用の保育士が3割、残りの7割は非正規職員。
 担任をもって責任ある役割をしても、非正規ということで給料は安くされている。安曇野市の保育は、非正規も含めた保育士たちの頑張りで、今ギリギリのところで踏ん張っている。


 先日、えっちゃんと、安曇野社会福祉協議会の共同募金の助成金に応募して、その審査のためのプレゼンテーションに行ってきた。この夏も、福島の子どもたちを招く保養キャンプを実施することになり、そのために共同募金会から十万円の助成を受けたいというプレゼンテーションだった。
 その帰り道、えっちゃんが、こんなことを言った。
「先日、市長と会って、新体育館についての署名の内容について話してきたんですけど、私たちの話はただ聞きおくというようなものでした。」
 今進んでいる新体育館の建設計画、工費38億円とか。えっちゃんが言うには、
 私たちは体育館は要らないとは言っていないし、建設反対をしているのではない。言いたいことは、
 本当に必要なところに予算がいくように、
 維持管理費など今後に多額の負担のないように、
 未来にぼうだいな負債を残さないように、
 そういう願いから体育館の在り方を見直し、建設費用を減らす検討をしてほしい、そう要望した。
 その話の中で、体育館に対して、えっちゃんたちは「箱もの」という言葉を使った。瞬間、市長はキッとなって、「何が箱ものか」と感情が露わになり、終わってからも「私たちの話は聞いてもらえた感じがしなかった」という。
 そういうことが、やっぱりあったのか。「やっぱり」という思いを強く感じるのは、これまでの体験があるからだ。



 限られた財政の中で、どのようにお金を配分し使っていくか。

 予算、413億円はどこからくる?

・市税、約115億(27.8%)。
・国からの交付税、約100億円(24.2%)。
・国や県の支出金、約64億(15.4%)。
・市債(借金)、約54億(13.0%)。
・繰入金(基金)、約25億円(6.0%)。
・その他で55億円。

 この「その他」とは何だろう。55億円もの大金をどこから持ってくるのだろう。
 ボウ君は、国からの交付税が減らされていて、安曇野市の場合、昨年より約9億円減っているという。
 そして、29年度末での市債残高、つまり借金の残高は約433億円の見込みという。
 基金(貯金)残高は29年度末で約67億円の見込みであると。

 社会の根っこが弱まれば、社会が崩れていく。根っこは見えにくい。根っこの健全な社会は滅びない。根っこは人にある。根っこを育てることを何より優先しなければ、未来は寂しく暗いものになる。
 日本の根っこ、安曇野市の根っこ。根っことは何?