「虎に翼」1

 

 毎朝、NHKの朝ドラを見るのを楽しみにしている。「虎に翼」というタイトルが付けられていて、いったいこれはどういう内容なんだろう。「鬼に金棒」と同じような意味であるが、「虎に翼」は、さらに自由度が強い。物語は、かつての軍国主義日本が敗戦によって急展開し、人間の生き方が革命的に変化していく。これからさらにどう展開していくか。

 1945年8月6日のヒロシマ、9日のナガサキを経て、15日の日本敗戦、そこから始まる新日本建設は、まさに「革命的」だった。近代の憲法は政治闘争を経てつくられていくが、日本には国民の闘いによる「革命」は無かった。とは言え、日本の場合、敗戦後、その翌年、わずか1年と3カ月で日本国憲法がつくられた。日本を支配した米軍の力が大きかったが、憲法の骨格となる原理は、「基本的人権」「国民主権」「平和主義」であり、その前提に、「立憲主義」がある。

 この大転換は、アジア太平洋戦争の、日本人自身のとんでもない加害と被害から、生み出されたのだ。

 近代立憲主義は、人間の自由な生き方を保障するもので、人間の生命の尊重が入っている。戦争は生命を奪うもので、いかなる理由であっても許されない。日本国憲法第九条は、人の命を奪うことを可能とする装置、すなわち軍隊を世界で初めて禁止した。近代立憲主義の原理の究極的な形であり、未来型の立憲主義を示している。

 この憲法宮沢俊義憲法学者)は、「八月革命」と言った。

 この歴史を知らない若い人がいる、というのが事実ならば、深刻な問題だ。

 なぜそういうことになったのか。

 私の体験では、小学二年の夏に敗戦となり、そのあとの小学校、中学校での授業で、教員は児童生徒に、憲法の重要な精神を語ることがなかった。この重要な「八月革命」を学校教育はなぜうやむやにしてきたのか。

   朝ドラ「虎に翼」、これからどういう展開になるか。