整骨院へ行った


 一昨年、左ひざの軟骨を傷めた。腫れや痛みが出て、歩行に支障が出るようになり、二、三カ月は整形科の医師の治療を受けたが、軟骨の擦り減ったのはどうしようもなく、あとは自分で筋肉を鍛えて関節を保護するしかないということで、筋肉を鍛える運動を適度にやってきた。
 ところが、数日前、朝のウォーキングで突如激痛が走り、へなへなと脚の力が抜けて動けなくなった。
 整形科の医院に行こうか、どうしようか。
「兄は、整骨院の治療でよくなったと言ってたよ。」
 妻が言う。ちょうどその日は、「安曇野ひかりプロジェクト」のミーティングの日で、今年の夏の福島の子どもたちのキャンプの計画を練ることになっていた。けれども、この脚では無理、欠席させてもらって、治療を優先した。「プロジェクト」の望さんに「いい医師はいないかね」と相談したら、近くの整骨院を紹介してくれた。
 早速行って、診察を受けた。整骨師の院長さんは、ニコニコおだやかに、全身を触診し、脚の動きを調べ、これまでの身体の状況や生活を詳しく質問した。ぼくが二年前まで登山もしてきたと言うと、どこの山かと聞く。
常念岳、蝶が岳に最近登りました」
「へえー、それはすごい」
「けれど、去年は白馬岳に登る予定だったけど、やめました」
「それは正解、今は重大な節目です。」
 会話はとぎれず続いた。
 診察が終わっておっしゃった。
「症状が現れているのは左のひざですが、ほかは超A級の若さです。しかし、ひざに現れているのは、身体が変化していく始まりの兆しです。」
 故障は一か所に現れた。けれども、さまざまな組織が絶妙に調和し、そして身体を構成して生きているから、一点の故障は全身に関係してくる。一つのゆがみは、全身に影響して、調和を崩す。ぼくはそう理解した。
 その後、ビリビリと電気を当てる、ベッドに寝ころんで機械が下からマッサージをする、そして手による全身マッサージと湿布で終わった。
 「二週間ほど毎日来てください」
 そして今日も行ってきた。整体師の若い人がストレッチをしてくれた。
 診察室の壁に、「オステオパシー」と書いた説明文が貼ってあった。
オステオパシー」とは何?
 調べてみたらこんなことが書いてある。
 「病気の原因を骨格のずれ・ゆがみなどに求め、その修復によって病気を治す人間の自然治癒力を最大限に活かした医学。病気は疾患部だけでおこっているわけではなく、身体全体の様々な個所の少しずつの歪みや制限が繋がって大きくなり、ひょっこり顔をだしたところが疾患部です。オステオパシーの施術は、まず身体全体の歪みや制限を調べ、その繋がりを解きほぐすことで、人間自らが持つ自然治癒力を大きく回復します。病気はあなた自身が治します。」