2024-06-01から1ヶ月間の記事一覧
書類の整理をしていたら、22年前の「創造の森学舎通信」が出てきた。 奈良県御所市名柄、金剛・葛城山麓、朽ちそうな古い空き家は平屋で、近畿大学の元教授、木村さんの家族が30年ほど前、住んでおられた家、「この家、あなたにあげます」と言われて、私は…
母は会津若松で下車し、一晩その近くの宿に泊まった。 翌日、母は兵営に向かった。練兵場に着くと、銃剣を持った歩哨に頭を下げ、息子の名と所属を告げて面会を頼んだ。母を見た歩哨の顔は、鉛の面型に変わった。軍律というものの非人間性、そこには一言も話…
汽車は動き出した。入営した息子ツトムに会いに行く母は、初めての旅だった。息子の好きな赤飯のおむすび、ゆで卵、梅干しを持って。列車が駅で止まるたびに、出征兵士へのバンザイが響いていた。 彼女は向かいの出征する男に話しかけた。 「あの、若松にい…
「鉛の旅」というタイトルの短編は、日本の敗戦が色濃くなった頃、次々と軍に召集されていく農民の話である。 先日、その話が「吉野せいが乗り合わせた兵士」というタイトルで、朝日新聞に掲載されていた。記事の筆者は政治学者・原武史、連載記事の「歴史の…
「虎に翼」2 宮沢俊義(憲法学者)の「新しい日本国憲法」解説(「憲法 改訂版」有斐閣 1973)は、日本の憲法の原点を解説している。以下要点をここに書く。 1、「個人の尊厳」 人間社会の価値の根源が個人にあるとする原理である。 2、「国民主権」 個…
毎朝、NHKの朝ドラを見るのを楽しみにしている。「虎に翼」というタイトルが付けられていて、いったいこれはどういう内容なんだろう。「鬼に金棒」と同じような意味であるが、「虎に翼」は、さらに自由度が強い。物語は、かつての軍国主義日本が敗戦によ…
「戦火のマエストロ 近衛秀麿」(NHK出版)、筆者は菅野冬樹、知らなかった歴史に胸を打たれる。こんな記事がある。 「私は世界のオーケストラを指揮しているが、あなたが二人目の日本人だ、と言われる。」 小澤征爾がこう言った。では一人目は誰か。 世界を…