「虎に翼」2
宮沢俊義(憲法学者)の「新しい日本国憲法」解説(「憲法 改訂版」有斐閣 1973)は、日本の憲法の原点を解説している。以下要点をここに書く。
1、「個人の尊厳」
人間社会の価値の根源が個人にあるとする原理である。
2、「国民主権」
個人は互いに平等である。すべての個人が政治権力の源である。これが国民主権の原理である。主権とは、国の政治の在り方を終局的に決定する権威である。
3、「社会国家」
日本国憲法は、個人を尊重する立場から、国民一人ひとりに対して、人間たるに値する生活を保障することが国家の使命であり責任である。
4、「平和国家」
平和国家の理想を実現するにはどうしたらいいか。第一次世界大戦の後で、世界の国民は真剣に取り上げ、国際連盟をつくり、戦争を追放しようとした。そして不戦条約を結んだ。それにもかかわらず、第二次世界大戦が起きた。そこで国際連合をつくった。今度こそは二度と戦争が起こらないようにしようと、世界中の人たちが努力を続けた。この努力が成功するには、世界の国々が絶対に戦争しないと決心することが必要である。しかし、それだけでは足りない。本当に戦争をなくすには、手段である軍備をなくすことが必要である。
宮沢氏はこのように書いていた。
しかし日本国の平和憲法の成立後、世界の戦争は依然止まらない。無くならない。人間は戦争する生物であるかのように。人類が滅びる時まで、戦争は続くのか。
日本国憲法が生まれた時、次のような歌が詠まれた。(「昭和万葉集 巻七」講談社)
われら永久(とは)に 戦はざらむ かく誓ひ
干戈(かんくわ 武器) は捨てつ 人類のため
新憲法成りたるときの国会の
一瞬のしじま(静寂)忘れて思へや(忘れることがあろうか)
入江俊郎
やけあとの 土もめぶきて あをみたり
ほこなき国(兵器のない国)を 春ふかみつつ
をみな(女)吾れ 六十路をこえて
町会の議席の一つに つく日を得たり
(女性参政権を得た) 高村しげ子
初投票の女性の列は
麦青き 校庭めぐりて長く続けり
高田房子