2007-01-01から1年間の記事一覧

 学徒の想い

天国と地獄 『きけ、わだつみのこえ』のなかから、いくつかの遺書を選んで、 中学校の授業で取り上げ、何度か朗読したことがある。 青年教師の時代だった。 そのなかに、たぶん大学山岳部であったであろう学徒の手記があった。 2006・2・26のぼくのブ…

 教え子の結婚式

ヤスコの結婚 教え子のヤスコから、結婚するので披露宴に来て欲しいという連絡を受け、 特急「あずさ」に乗って、東京へ行ってきた。 六本木ヒルズ森のタワーの隣のホテルだった。 タワーの下に立って、上を見上げたら、くらくら目まいがした。 それは高さの…

 熊出没注意

「お種神社」と「お種の水」 これがお種神社への道かい。 林道から丸木橋を渡って、それからの道は、とても神社への参道とは思えない。 丸木橋そのものも、落葉松の木を2本切り倒し、皮もはがずにそのまま川にかけたものだ。 たぶん去年の大水で橋が流され…

 ペンション『ひこう船』

いっちゃんが、ペンションをオープンすると聞いて、洋子とYさん、3人で行ってきた。 場所は蓼科高原、北八ヶ岳の中腹にある。 空はピーピー晴れ渡り、行くならビーナスラインを通っていこうと、車で松本から美ヶ原に登り、 そこから蓼科をめざした。 標高…

 今日はゴミ当番

Kさんのばあちゃんと二人で 「初めての『ゴミ当番』です、よろしく。」 今日の相棒のKさんが当番小屋に来ておられたから挨拶した。 午前7時から8時まで、この地区の「燃える家庭ゴミ」が公民館横の集積場に集まってくる。 自治会では輪番で、ゴミ集積の…

 サイトウキネン フェスティバル松本

ロストロポーヴィチ・メモリアルコンサート 黒い衣装に身を固めた銀髪の小沢征爾さん、その後姿をぼくは息を呑んで見つめていた。 タクトが上がらない。 頭を垂れて、黙祷をしているような、 9秒、10秒、 オーケストラの演奏家たちも動きを止め、 指揮者…

 砂漠化が進行するネパールで

ネパールの子どもと環境 3人の少年が荷を入れた大きなかごを背負って、峠を登ってきた。 3人とも汚れた衣服にはだし、十代前半ぐらいだろうか。 彼らは、ぼくらのテントを見つけると、近づいてきて、一人が黙って片手を差し出した。 見ると、手のひらの真…

 ツチノコ探検隊

夏休み、クラスの子らと 「ツチノコって、知ってる? ノヅチとも言うんや。」 夏休みが近づくと、クラスの子らに話しかける。 「こんな太くて短い蛇やで、‥‥」 ぼくは両手を広げる。 「そいつが跳ぶように走るんや。追いかけてきよる。山の中におるんやで。 …

 庭の水やり

水やりの効果 猛暑日がつづき、植物が悲鳴を上げている。 毎日の庭への水撒きは夕方の一仕事だ。 去年引越しして来たとき、庭は草も生えないような石ころだらけの無機質の土がむきだしで、 そのなかに、松とツツジ、ハナミズキ、梅が少し植わっていた。 保水…

 軍隊の特徴

ビンタ 『レイテ戦記』を書いた大岡昇平が、こんなことを語っている。 戦場をつぶさに体験した者の、証言のひとつ。 「ヨーロッパの軍隊でも、むちうちということがありました。 いうことをきかない兵隊を懲罰して、むちでひっぱたくってことが、 ロシアはも…

 本当のこと

本当のことを言う 8日の「声欄」にこんな記事が載っていた。(朝日新聞) 投書の主は、青森の75歳の人だった。 「いきなり、『この戦争は勝つと思うか』と担任に問われた。 私はとっさに、『はい、勝ちます』と答えた。 30代半ばの担任は、『どうして勝…

 夏の朝

午前4時40分、東の空が見事な茜色に染まっている。 色は刻々変化して、最もはなやかな神秘の天空は瞬く間に過ぎ去っていった。 穂高の田園地帯を山に向かって歩く。カメラが捉える映像も最高時点から少しずれてしまう。 1 水をはった休耕田 2 桑の古木 …

 水を張った休耕田

動物が戻ってくる 近くの農家は、休耕田に水を入れて代田のようにしている。 そこは穂高の久保田地区、何枚もの休耕田が水をたたえ、 空を映し、雲を映し、 真夏の今、田植え前のような景色だ。 豊富な山の水を使って、休耕田に水を張れば、ぼうぼうと生える…

 朝顔の話

あの日の朝 浅草の朝顔市からヤンさんが、四色咲きの鉢植え朝顔を宅配便で送ってきてくれた。 「日本人なら朝顔という花はどこにも売っているかもしれませんが、 7月7日の入谷市場で売っている朝顔こそ大事な意味をもっていますから、 もらう人はきっと喜ぶ…

 犬にも意志がある

ランの意志表現 午前5時前、日輪が東の山から姿を現す。 窓の外が明るくなると、ランは起き上がり、とことこ軽い足音を立てて部屋に入ってきて、 僕の寝床に近づき、足をぺろっとなめ、ベッドの真横に来ると鼻を僕の体に押し付けてくる。 「朝だよ、起きて散…

 玉砕しなかった兵士

判断の分かれ道 横田正平は、1912年に愛知県に生まれた。 1938年、従軍記者として中国戦線に赴き、1941年、召集されて兵卒になった。 彼は日本軍のなかに身をおき、華中、満州、そしてサイパンと転戦、 最後、グアム島攻防戦での玉砕一歩手前で…

 河合隼雄さんを悼む

教師の専門性とは 先日、河合隼雄さんが亡くなられた。 まだまだこれから活躍して欲しい人であっただけに惜しまれてならない。 河合隼雄さんは、ユングの心理学研究と心理療法にたずさわってこられ、 長年の豊かな研究実践の結果から、 子どもの施設について…

 仏教者の生き方・私の生き方

稲垣さんの通信から 「餓鬼通信」という名の個人誌を、友人の稲垣有一さんが、 毎月送ってきてくれる。 稲垣さんは、小学校の青年教師の時代から、研究と実践に専心し、 校長職を退いてからも、幼児教育の現場と大学で、教員として活動しておられる。 管理職…

研修生からの手紙

企業の中で K・K君から手紙が来た。 日本語研修の閉講式で、彼は代表であいさつした。 校舎の窓から日本の田植えを見て、 農夫が一人、 田植え機を使ってあっという間に終わらせてしまったのに驚き、 自分のふるさとはまだ手植えのままだと、そのなかで語…

 静止して五感を働かす    

野の真ん中で立ち止まる 動いている自分から止まっている自分に、 そこに身をおくと、 別の人間のように変化する。 朝のウォーキング、 野の真ん中で立ち止まり、 歩き人間から、静止人間に自分を切り変え、 今まで動いていた足の代わりに、 集中して五感を…

 全国統一学力テスト

「モモ」 「モモは犬や猫にも、コオロギやヒキガエルにも、 いやそればかりか雨や木々のざわめく風にまで、 耳をかたむけました。 すると、どんなものでも、それぞれのことばで モモに話しかけてくるのです。」 「モモがここにいるようになってからというも…

 カミキリムシ

怪力カミキリムシ 頭のほうを斜め上に立てたようにして、ブーンとひどくゆっくり飛んでいる。 あの飛び方はカミキリムシだ。 今年はクロスグリの実がたくさん生った。 クロスグリはブラックベリーともいう。 今はまだ赤い。もうしばらくすれば黒くなり、そう…

ありゃりゃ、載っちゃったよ。 冬の写真「安曇野 冬」をブログに載せられなかったから、どうしようかなと考えて、 試験的に動かしていたら、そのまま載ってしまった。 載せる予定ではなかった写真です。 雪の上のランです。

 更科源蔵『北の原野の物語』

源蔵の兄の死 ぼくの好きな詩人の一人に、北海道で生まれ育ち、北海道の魂を詠った更科源蔵がいます。 源蔵が六歳のとき、兄が亡くなりました。 干草を積んだような源蔵の家は、 あたりに隣というものの見当たらない、 熊牛原野の一軒家でした。 吹雪の中の…

 夏休み

教師たちの夏休み 3人は、いま非常勤講師の身分、 彼らは教諭以上に働き、子どもたちと全身でぶつかり、 学校ではなくてはならない教師になっているが、 非常勤の制度では、採用期限は1年で切れ、 いったん失業状態になるから、 次年度採用されることにな…

 コシアブラの木

コシアブラを植えた コシアブラの苗がホームセンターの園芸コーナーにあった。以前、奈良の御所・名柄にいたとき、兵庫・加美町で紙漉きをしている友人が、 「金剛・葛城山に、コシアブラがないか」と言っていたことがある。 食用にできるという言葉を、かす…

 大阪の人情

おばちゃん 淀川べりから、あたりを探してみたが、 どこにも喫茶店が見当たらず、 見つけた一軒はお休み、 桜ノ宮の駅前に、やっと小さな喫茶店を見つけた。 なんとまあ、コーヒーが200円、と書いてある。 入ったら、おばちゃんが一人カウンターの中にい…

 淀川中学校同窓会

還暦の同窓会 阪口さん? しげしげ顔を眺めて、えーっと、えーっと、 記憶の底を探りながら、ぼくは少し申し訳ない思いで困惑している。 やがて目の前で笑っている阪口さんの顔は、次第にあのころの顔に変わってきた。 記憶の奥に眠っていた彼女の、45年前…

 草刈り

土の命草刈をした。 1メートルほど段差のある畦(あぜ)の斜面、 我が家の畑ではない。 我が家の裏の、たまねぎ畑の主は、簡単に除草剤を使う傾向があり、 庭に隣接するここは私が草刈するから、 薬は使わんといてください、 と頼んだいきさつもあって、と…

 古い戸棚

安曇野まで運んでくれた戸棚 ランと行く朝の散歩の途中、 ブルーベリーの収穫をしている女の人がいた。 訊いてみると、1キロほどならお分けしてもよい、ということだったから、 ブルーベリーが欲しいと言っていた奈良の北さんに買って送ってやった。 ジャム…