2025-09-01から1ヶ月間の記事一覧

人間のエゴの歴史

黒部峡谷に「下の黒ビンガ」「上の黒ビンガ」と名付けられている難所がある。「ビンガ」とは何か。それは両岸壁が高くそそり立ち、その間を流れる黒部川は激流となり、深い淵となっているところだ。そこで、両岸が狭くなり、岸壁がそそりたっているところを…

追憶、「山へのあこがれ」

戦後10年、高校のぼくの学級担任は、登山家だった。野村哲也氏、彼は二十代の新進気鋭の登山家で、関西で最も先鋭的な登攀を試みる関西登高会に所属し、前穂高岳の未踏の岩壁登攀や、北海道のペテガリ岳, 冬の縦走を成し遂げていた。数年後、ヒマラヤにもチ…

美しい排泄物

山折哲雄は、女子大学での講義で、新陳代謝について話をした。 「人間は、排泄物を汚いと感じる。ところが排泄物であるのに、汚いと感じないものがある。それは何か.] [それは涙です。」 学年末、講義を受けた学生に、レポートを提出してもらった。そのなか…

宮沢賢治の願い

宮沢賢治の願い 2004年に、国際日本文化研究センター所長の山折哲雄が、「涙と日本人」という書を出版した。その記事中に、賢治の詩「雨ニモマケズ」をめぐる疑問が提出されている。それはこういう疑問だ。 「雨ニモマケズ」の詩には、次の一節があり、次の…

放浪の俳人、種田山頭火

種田山頭火は出家し、漂泊の旅に出て、俳句を詠んだ。自由律俳句だ。 まどろめばふるさと夢の葦のはずれ しづけさは死ぬるばかりの水が流れて 焼かれる虫の匂ひかんばし ふくろうはふくろうで わたしはわたしで ねむれない どう しようもない わたしが歩いて…