2024-12-01から1ヶ月間の記事一覧
アンドレイ・クルコフの「灰色のミツバチ」(沼野恭子訳 左右社)という小説は、ウクライナが舞台になっている。2017年、ドンパスの小さな村。 雪が降りしきる。雪原に倒れている遺体は、もうすぐ雪が覆い隠すだろう。夜中、夢の中に火の鳥が飛んでいた。頭…
12月28日の朝日新聞の「天声人語」、限られた字数で伝えたい想いが簡潔な文章表現に現れ、それ故、伝わってくるものがある。その文章の要旨を、ここに記したい。 「どうか月を見てください。月を指す指ではなく」。 オランダ・ハーグで開かれた国際刑事裁判…
室生犀星(1889~1962)は、かつて「ロシアを思う」という詩を詠った。 旧仮名遣いを現代仮名遣い、旧漢字を現代の漢字に替え、ここに紹介する。 ロシアを思う 私はよくロシアのことを考えた このごろのように憂鬱な冬から 春になったころの 「死人の家」に…
ヒロシマ、あの日の原民喜の叫び。 ‥‥コレガ人間ナノデス 原子爆弾ニヨル変化ヲ ‥‥ オオ マックロコゲノ 唇カラ モレテクル声ハ タスケテクダサイ ‥‥コレガ人間ナノデス 真夏ノ夜ノ 河原ノ水ガ 血二染メラレ ‥‥ オカアサン オカアサン ‥‥ 峠三吉が詠った。 …
朝日新聞の 「インタビュー記事」の相手は真鍋祐子さん、その内容は、韓国の大統領が出した「非常戒厳」の意味をえぐるものだった。真鍋祐子さんは韓国の民主化運動の研究家である。 韓国のユン大統領の出した「非常戒厳」、それに対して、市民や政治家が立…
また訃報が届いた。 森年彦君、逝く。最期は、老人ホームだった。手足が萎えて動かなくなっていた。 今年とどいた訃報は四人、下江国男君、雨包正人君、永井通夫君、そして森君。 下江君は、大学山岳部のときの一年後輩、登攀を共にした。正人君は、中学生の…
全国の小中学校と高校で、2023年度に確認された子どもの暴力行為は過去最多の、計10万8987件(前年度比14.2%増)だった。特に小学校は約7万件で、1千人あたりの件数でも中学や高校を上回った。専門家は「8万件を超すのも遠くないのでは」と話す。 つづいて新…
今朝の朝日新聞「俳壇」は、「オモニを恋う」というタイトルで、在日韓国人の俳句が紹介されている。 その句集のタイトルは、「母(オモニ)。現代俳句協会から刊行された。作者、朴美代子さんは、50代で俳句に出会い、のめりこんだ。 芋買うにも 外人登録 …
「アウシュビッツ」を繰り返さない人間社会をつくることができるか。それは人間の大きなテーマだ。 今イスラエルのやっていること、ガザで起きていること、これは、いったい何なのだ。 第二次世界大戦でのナチスの非道に、「アウシュビッツ」があった。 アウ…