希望

 中尾佐助が探検したブータン

穂高駅前の「登山の親子」像 中尾佐助がブータンを探検したのは1958年だった。 東日本大震災の被災地を見舞うために、昨年ブータンからブータンの心を携えてやって来られたお二人の姿は、日本人に深い感銘を与えた。国民総幸福を国是とするブータンは、日本…

 2012年 元日に思う

新年を迎えた。 今年は夫婦二人だけの静かな正月となった。 突発的なウイルスの反乱が暮れに私の身体に起こり、その症状から大事をとって息子たちの家族は帰ってくることを取りやめた。 かわいい孫たちと過ごせないのは寂しいが、のんびり、ゆったりと正月を…

 国民総幸福の国 ブータン

この人が体育の教師? と不思議に思うような人だった。 10年前、日中技能者交流センターの、日本語教師講習会を受けたとき、彼とぼくは宿舎の部屋が一緒になった。 彼、杉原さんは定年まで高校の体育科教師、ぼくは国語の教師、偶然いっしょの部屋になり、一…

 旧制松本高校の古い木造校舎

旧制松本高校の古い木造校舎は、がっちりとした木組みの確かさが人の心を落ち着かせる。 天井近くまで縦長に開けられた木のガラス窓から外を眺めると、雨に濡れた校庭のケヤキやカエデは、校舎二階の屋根を越えて黄と紅に染まっていた。 旧制高校の時代、こ…

  灰燼の中から不死鳥のように立ち上がる <ウェストンも日本で地震を体験>

ここ数日、地震が連続している。震源地は長野県北部。 TVに、あの不安な地震予報のコールサインがなり、「強い地震が来ます。」と知らせた。 四回だけ、一瞬グラッと来た。やっぱりドキリとして不安が襲った。 グラッと来ると大急ぎでドアを開けて逃げ道を…

 犬と受刑者の愛情が運命を変える

暴力行為を繰り返してきた、 強盗を犯した、 人をナイフで刺し殺した、 そのような罪を犯した若者の受刑者が収容されている刑務所で、虐待されてきた犬や捨てられていた犬を服役者が世話し、訓練して、人間を取りもどしていくドキュメンタリーだった。 秋の…

 どうしたらいいのだろう(2)<高校生の葛藤>

高校に入る前は進路のことでとても悩みました。 パティシエールになろうか、介護士になろうか。 私は菓子作りが好きです。いつか本場に行って修行して、私がつくった菓子を食べてみんなが笑顔になって、おいしいと言ってもらえるような、お菓子を作りたいと…

「どうしたらいいのだろう」

自分は今、何のために生きているのかを考えて悩んでいます。 子どもができる前って、何億の精子が卵子に向かって行きます。 そしてそのたくさんの精子の中で、僕が生き残り、生まれてきました。 ですが、本当に僕でよかったのか、と考えてしまいました。 も…

 『国連軍縮会議IN松本』 記念講演と平和祈念コンサート

志を持って実現に動く人がいて、歴史の歯車が回る。 安曇野市の隣、松本市で、国連の国際会議が開かれる。 期間は7月27日から29日まで、テーマは「核兵器のない世界に向けた緊急の共同行動」。 この会議にともなって企画された催しは、市主催のもの、市…

 鶯鳴き、水仙咲く

今朝、雪の常念岳が蒼天にくっきりと輝き、木立から鶯の初音が聞こえた。 庭の水仙が清涼の気を発して凛凛と花開いている。 東北地方、津波にもたらされた砂や泥、瓦礫の荒野に一輪の水仙が花開いているのを見つけたご婦人がいた。 「母が植えた水仙が、生き…

 焦土のなかで <昭和20年、かの日>

東日本大震災の姿は、さながらかの日そのものだと、記憶は叫ぶ。 1945年、日本の都市はほとんど焦土と化していた。 『昭和万葉集 巻七』(講談社)、敗戦直後の歌をよむ。 焼跡に焼けたるものを集め建つ天地根源づくり小屋一つ 藤沢古実 「天地根源づく…

 祈り

トイレに行くと、しんしんと冷えた。氷点下6、7度は行ってるなと思う。 時計を見ると午前4時を回っていた。まだ外は暗い。それから布団の中で考えていた。 寝具の中は暖かい。だが今このときも、被災地の人たちは、暖房も電気もなく、空腹のまま寒さに耐…

「乳と蜜の流れる地」

工房の入り口に敷石を敷いている。 凍土はこんなに固いものなのか。 工房の前に石だたみを敷いている。 このあたりは烏川の扇状地を開墾したところで、人間の頭ほどの石から小石まで土の下からいくらでも出てくる。 それらは、野道のあちこちに積み上げられ…

 いたわり、ねぎらう

「おつかれさまです」 日中技能者交流センター研修所のリエさんは、仕事の中でしばしばそう声をかけていた。 たいして疲れてもいないよ、と言いたくなることもあったが、 それがあいさつ言葉になじんでしまっていた。 いつもいつも、優しさが言葉にこもって…

 愛称は憧れを乗せて

犬のシロちゃんちの前を、ランを連れて歩いていた。 見るとガレージに入れてある型の古い車は「セドリック」だ。 なつかしい名前だな。 日本の車の名前はカタカナ横文字が普通になっている。 以前我が家は、「スターレット」につづいて「カローラ」を使って…

 生きる力を育むには 希望を育むこと

『最後の一葉』という、アメリカのオー・ヘンリーが書いた有名な短編小説がある。 要約すると、こういう話である。 ▽ ▽ ▽ ワシントン・スクエアにある煉瓦造りの三階建ては画家たちのコロニーのようになっていた。 その三階に、スーとジョンジーがアトリエを…

  5月31日、朝日新聞

朝の会話 新聞を見た? 今日の朝日新聞、画期的だよ。 アフリカ問題を特集してるんだけど、今日の新聞、どのページもいつもと違うなあ、と思いながら読んでいて、気がついた。 編集は、外国のロック歌手の2人がやったんだって。 一日編集委員だって。 だか…

 鎌田医師とチェルノブイリ

出会い 人生は人との出会いで変化する。 あの人と出会わなかったら、こういう人生にはならなかっただろうと思われるような、 人生の変り目がある。 諏訪中央病院の鎌田実医師は、ベラルーシのチェルノブイリ原発事故の被害者を救うために14年間に渡って医…

 夢を描き、夢を追う

上「のぼり旗」、下「荻原碌山の作・『労働者』」 ランといつも散歩するコースの途中に、大きな旧家がある。 その家の庭にはすでに枯れてしまってはいるが樹齢数百年にはなると思われるケヤキの巨樹が幹を残していて、 最近その庭先に端午の節句の「のぼり旗…

 かけがえのない人

「かけがえのない人」という自覚 「かけがえのない人」という言葉を何度もつかって、 先日彼らの出発への、はなむけの挨拶を僕はしたのです。 「その人の代わりになる人はいない、だから、かけがえのない人」、 という持って回った言い方よりも、 「大切な人…

 サッカー・ワールドカップ決勝

サッカー・ワールドカップ決勝 イタリアの歓喜とフランスの落胆、 勝敗は、数知れない必然と、 これまた数え切れない偶然の結果。 勝負の結果は、 一方を明に、一方を暗に分ける。 イタリアチームの顔に笑顔が爆発し、 フランスチームの顔には失望が影を落と…

 リンゴの木の箸置き

リンゴの木の箸置き アキオファームの、薪にするリンゴの小枝を何本かもらってきて、 箸置きをつくることにした。 奈良の緑枝舎でつくった箸置きは今も愛用している。 アンズ、ヒイラギ、キンモクセイ、 ただの枝ではあるが、細工して箸置きにしたそれらは、…

  トリノに流れた「イマジン」

トリノに流れた「イマジン」 トリノ冬季オリンピックの開会式で「イマジン」が歌われた。 あれっ、ヨーコ・オノだよ、メッセージを読み上げてる。 トリノ・オリンピックが置かれている、世界の危機がこの歌を選んだのか。 開会式の演出にいくらかの計算が働…

 一本の鉛筆

一本の鉛筆 あの本に書かなかったことがあります。(注) 美空ひばりの歌を、武漢大学の学生に聴いてもらったことです。 今朝、NHK衛星放送の「心の旅」を見ていて思い出しました。 奈良岡朋子が、アンネの隠れた家や、アンネの友だち、 そしてユダヤ人収…

 あの時のあの曲

あの時のあの曲 「この歌は、新しい歌ですね」 「子どもと先生で選んで流しています。」 若い先生がこたえた。 歌は、給食が始まると学校中に流れ出す。 中国からの転入生に日本語を教えるために、週に二回ぼくは地元の小学校に来る。 無償のボランティア、…

  ガンジー

ガンジー 「ガンジーの会」というところからメールが来た。 あなたの「宮柊二・一兵卒の歌」を、 「ガンジー村通信」に転載させてほしいです。 「ガンジーの会」は、自衛隊のイラク派兵に反対して、 2004年1月26日以来、24時間のハンガー・ストライ…

 仏教の再生をめざす

仏教の再生 昨日の夜、NHKのTV特集で、 「お寺ルネッサンスをめざして」というのをやっていた。 衰退していく日本仏教、 全国七万数千のお寺の存在意義が薄れ、 無住の寺が増えている。 寺の再生はなるのかどうか、 文化人類学者の上田紀行が、寺の再生…