仏教の再生をめざす


      仏教の再生       


昨日の夜、NHKのTV特集で、
「お寺ルネッサンスをめざして」というのをやっていた。
衰退していく日本仏教、
全国七万数千のお寺の存在意義が薄れ、
無住の寺が増えている。
寺の再生はなるのかどうか、
文化人類学者の上田紀行が、寺の再生試みるいくつか寺を探訪する。


大阪の寺・応典院の近代的なお堂は若者たちの劇場、
お寺は昔、学びと癒しと文化の拠点、
もともと演劇とお寺は切っても切れないのだと、
住職自ら劇に出演している。


どこの県だったか、角田山・妙光寺、僻地のお寺。
檀家も減って存亡の危機に、宗派を超えた共同墓地の小山を作る。
生きているうちに戒名を授けます。
全国から集まる人たちは、いつか訪れる死を安らかに、
それより前の、生きている今、
生き方を考えましょう。
そこに集まる人たちの、人のぬくもり。


「ボーズ ビー アンビシャス」は東京のお寺、
宗派を超えた若い僧侶が集まって、
討議に花を咲かせている。
仏教の使命は何なのか。


信州・松本の神宮寺、
地域の人の集まるミニ・デイサービス、
ごくらく倶楽部を立ち上げて、
ここも宗派にとらわれず、裁縫やったり、手品やったり、健康、娯楽。


住職、高橋卓志さんは二十九歳のとき、
インドネシアの小さな島の戦没者慰霊の旅に参加して、
千人の日本兵が焼き殺された洞窟のなか、
いまだ無残に泥につかって打ち捨てられた、
兵士の遺骨に出会ったのだった。
これは私の夫ではないかと、
泥にひざまづいて号泣する婦人の姿に、
大きな衝撃を受けた高橋さんは、
それがきっかけで生き方を変えた。


放射能にむしばまれるチェルノブイリの子どもたちの元へ、
これまで三十六回でかけ、
タイへも出かけ、エイズ患者のケアをする。
いまは地元で、浅間温泉ケアタウン計画をつくり、
生病老死の苦しみのない地域を作ろうと、
人びとと共に活動を進めている。


ぼくが中国・武漢にいたとき、
大学図書館で借りた日本の本の一冊、
鶴田静さんの「いま自然を生きる」(岩波書店)。
アメリカ人の夫と二人、千葉の農家を手に入れて、
自然農法で作物をつくっていたが、
ベラルーシ大使館の願いに応えて、
チェルノブイリの子どもたち十数人を、
毎夏ホームステイに受け入れた。


自然は偉大な力をもっているもの。
放射能を浴びていた子どもたちは、
自然農法の作物を食べて元気を取り戻し、
明るく祖国へ帰っていった。


何ができるか手探りの、
何ができるかわからない、
ぼくにひとつの夢を与えた。