2020-01-01から1年間の記事一覧

「虚無」の文明

M・エンデの書いた「はてしない物語」。 架空の国ファンタージェン国の一部に、突然「虚無」が広がり始める。「幼なごころ姫」が重い病気にかかり、「虚無」はものすごい勢いで国を呑み込んでいく。ファンタージェン国は壊滅の危機に陥る。その物語を読んで…

C・W・ニコルさんが死去した

黒姫山に住んで森づくりをしていたC・W・ニコルさんが、死去した。残念。 ウェールズの出身。探検家でもあったし、小説を書いたり、自然保護運動をしたりしてきた、彼は『TREE』という本にこんなことを書いてる。 「私が生まれた家のすぐ近くに、川の流れる…

岩手の不屈の女性

伊藤まつをという女性の「石ころのはるかな道 みちのくに生きる」(講談社)という自伝がある。 彼女は、明治27年、岩手県南都田村で生まれ、岩手師範学校女子部で学び、卒業後小学校に赴任して教職に就いた。熱烈な恋愛をし周囲の猛烈な反対を押し切って結…

賢治と心土

屋久島に住み、心にしみるエッセイを書いた山尾三省さんは、1988年、「自己への旅」というエッセイ集を著した。三省さんはインドを遍歴して、屋久島に帰り、コミューン「部族」に参加していた。 今は亡き三省さん、彼は「自己への旅」のなかに、仙台で出…

岩手の歴史

十五年戦争に、もっとも多くの、屈強な兵士を送り出した岩手県。 貧しい山村では乳児死亡率が高かった。その中を生き抜いた子どもはそれだけ頑健だったから、強靭で忠勇な農民兵士となった。激戦地に送られた彼らはほとんど戦死した。 国家主義思想が学校に…

岩手県、賢治の故郷、感染ゼロ

報道のうえでは、コロナウイルスの感染がゼロの県は岩手県である。 宮沢賢治のふるさと、賢治が「イーハトーブ」と呼んだ、心象世界の理想郷、岩手。 新聞の感染の記録を毎日見る。おう、岩手、がんばってるぞ。 岩手は日本のチベットと、昔から言われてきた…

年に一回、今だけの喜び

道祖神桜まで歩けば、1000歩ぐらいかな。行ってみたら、やはり写真撮影に来ている人がいる。 あちこちで桜が満開、早咲きはもう峠を過ぎた。 花は年に一度咲くだけど、その「年に一回」を楽しみにしているものがたくさんいる。楽しみにしているのは、人間だ…

イタリア・ボローニャ、新たな認識

今朝の朝日新聞の「多事奏論」に、論説委員の郷富佐子さんがこんなことを書いていた。 「私はイタリア北部の村にある全寮制の高校を卒業した。200人足らずの小さな学校で、生徒も教師も家族のようだった。 イタリアでは、ハグ、キス(左ほお、右ほお)があい…

危機意識 もうひとつのメッセージ

畠野さんから、数日前、もう一つメッセージが届いていた。医師からの悲壮な訴えだ。日々状況が深刻になって、今はさらに危機的だ。いくつかの都市で緊急事態宣言も出される。 昨夕、区長の家に行って、このドクターの文章を渡し、当面の区の活動(集会、桜の…

メルケルさんの国民へのスピーチ <送られてきたメッセージ>

昔の同僚であり友人である兵庫の畠野さんからこんなメッセージが送られてきた。長い文章なので途中割愛した。ドイツ首相メルケルさんの3月下旬ごろのスピーチだ。心に感じるものがある。 ギュンター りつこ訳 親愛なる国民の皆さん。現在、コロナウィルスは…

駅ピアノ

「駅ピアノ」、「空港ピアノ」のドキュメンタリーが大好きだ。置かれたピアノを自由に弾く人たちの様子を、設置されたカメラがそのまま伝える。 今朝、家内が録画してあったイギリスの「駅ピアノ」を観た。 駅のコンコース、人々が歩いている。そこに置かれ…

ヒメコブシの話

スイセンが咲き始めた。一年でいちばん美しい季節だ。 ヒメコブシのつぼみが膨らみ、赤紫の楕円形が枝の先に見える。小鳥の眼はするどい。ヒヨドリがもう十日前ぐらいからやってきて、咲き始めるのをねらっている。 花が咲き始めると、ヒヨは枝の先端に止ま…

人類

昔、ブラジルの奥地に、山をへだてて二つの部族が住んでいた。 二つの部族は、一年に一度、戦争をするのが長い間の慣習になっていた。決められた日、戦士たちは山の両端から登り、山上ではなばなしく戦いを繰り広げた。武器は槍やこん棒。 この戦争で毎年数…

金星

老いたランはトイレが近くなった。トイレに行きたくなると、「ワン」と太い声で吠えて人を呼ぶ。その回数が増えた。 午後八時ごろ、ランが呼んだ。 ランを連れて外に出た。冬耕(とうこう)された田んぼと、まだ三寸ぐらいにしか伸びていない麦畑の中の道を…

このような雑木林が安曇野から確実に消えている。 昨日は一日雨だったが、今朝は晴れた。五時五十分からランと歩く。 太陽の上る位置が、冬至のころは美ケ原の南の峠だったが、今朝は美ケ原の山体を越えた北の峰に移動していた。 ヒバリが空に舞い上がってい…

ベトナムからハー君が来た

昨日、お昼前に電話がかかってきた。声のトーンから誰か分からなかった。 「ハーです。ベトナムのハーです。」 「ハー? ああー、ハー君。」 今、日本に来ている。会いたいと言う。どこにいるのか聞くと、豊科駅だ。 技能実習生として日本に来て、明科の建設…

今、「ペスト」を読もう

<これが日本の現実だ。この木を見よ。> ニュースを読んでいてこんなことを知った。 コロナウイルスの感染拡大を受けて休校しているイタリア・ミラノの高校の校長が、学校のホームページ上で生徒に向けて書いたメッセージが話題になっているという。ドメニ…

百年前 スペイン風邪のもたらしたもの

へえー、そういうことがあったのか。知らなかったなあ。 今、コロナウイルスの肺炎が世界的な脅威になってきているが、過去には、世界の歴史を変えるような流行性の風邪が猛威をふるい、それが、世界大戦を引き起こす原因にも関係していたのではなかったかと…

ヘルマン・ヘッセの訴え

ドイツ人のヘルマン・ヘッセは、第一次世界大戦のとき、スイスに住んでいた。戦争が始まり、ヘッセはこの戦争は不可避だと思い、自分も志願兵になろうとした。だが強度の近眼であったから、兵士になれなかった。 ヘッセの考えが変わったのは、ドイツが中立国…

生命の不思議

道端の霜柱は、丈が5センチほどもある。畑に行くと、玉ねぎの苗は、かなりよく育っていて、霜柱によって土から掘り出されるという苗は、1月の土抑えで防ぐことができている。ニンニクも大丈夫だ。 何も作っていない畝は秋に黒豆を収穫した畝だ。その天地返…

ディン君の話

今日午後2時から5時まで、ディン君に日本語を教えた。彼、自転車で、雨にぬれてやってきたが、薪ストーブの火が暖かく、すぐに服が乾いた。 彼は昨年暮れに二級の日本語検定試験を受けた。だが合格しなかった。無理もない。残業続きの技能実習生だから、勉…

ムクドリ

秀さんとこから、コメの収穫後に出た米ぬかをもらってきて、動物性の台所食材の廃棄物を堆肥化するのに使っている。木箱のなかに、もみ殻燻炭とピートモスを混ぜて入れ、そこへ卵の殻や煮干しの煮だしたのや、魚のあらなどを投入してかき回し、ときどき米ぬ…

車優先社会の実態

今日は看板を作った。 風が冷たくて、凍えそうだが、ギコギコ木を切って看板を作り、文字を書いて、支柱に打ち付けた。 それを立てるところは、家の前の交差点の角、 看板の文章は、 「この先、生活路です。 事故が5件、起きています。 ゆっくり行ってくだ…

ヒマワリの種

去年、孫が送ってくれたヒマワリの種、 庭に蒔いて伸びた六本の芽は、 あれよあれよ、三メートル近くになり、 その花がまたでかくて、直径三十センチほどあった。 でかくなれば、風当たりも強い。 強風が吹くたびに、花の重さは幹を傾がせ、 花が実になると…

震災地に学ぶ修学旅行

ぼくはこの提案に賛同する。池澤夏樹の提案である。(2月5日 朝日新聞) それは去年の十一月に仙台市のシンポジウムで、池澤が提示した修学旅行のプランだ。 南海トラフの巨大地震が近未来に起こると予想されている。起きれば恐ろしい結果を引き起こすことも…

山のこと海に伝へよ雪解川

ランを連れて朝のウォーキングに出かけようとしたら、妻が奥から顔を出して、 「山のこと海に伝へよ雪解川(ゆきげがわ)」 と、テレビで放送されていた俳句を朗誦した。ちょうど今、NHK俳壇に取り上げられていた俳句よ、と言う。印象深かったから、ぼくに伝…

間(ま)をとる

テレビの国会中継をしばらく見ていた。 安倍総理を野党議員が質問し追及している。記録を見ながら、早口でまくしたてる野党議員、言いたいことが山のようにある、それを全部言いたいのだろう。議員は、当然意識している。この弁論は安倍首相にぶつけているが…

中村哲さんを、安田純平さん書く

ジャーナリストの安田純平さんが新聞に、中村哲さんのことを書いていた。 安田さんは、シリアで武装勢力に拘束された経験を持つ。命の危険を感じつつも、現地にかかわり続け、処刑の一歩手前まで行って解放された。 「中村さんは、なぜ現地にこだわったのか…

あやしい話

日曜日の午後、「野の学舎」に、きのこ栽培の会社に来ている実習生のディン君が日本語の勉強に来た。午後二時に来るというので、薪ストーブに火を入れておいた。やってきたディンは燃えているストーブを見て、うれしそうな顔をして写真を撮った。亜熱帯のベ…

いいねえ

14歳の中学生、女の子。声の欄に投書していた。(朝日新聞) 声欄の右隅、ふだんは飛ばし、社説と次のページの意見欄に目が行くのが、今朝は不思議にこの中学生の声が、こちらの目に飛び込んできた。「この文章はおもしろいよ」、そういうのは、向こうからピ…