あやしい話

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  日曜日の午後、「野の学舎」に、きのこ栽培の会社に来ている実習生のディン君が日本語の勉強に来た。午後二時に来るというので、薪ストーブに火を入れておいた。やってきたディンは燃えているストーブを見て、うれしそうな顔をして写真を撮った。亜熱帯のベトナムにはこんなストーブはない。

 ランちゃんが散歩に行きたいと言って、ワンワン鳴くから、三時半にトイレ散歩に連れて行った。リードをディン君に持ってもらって、野を散歩。ディン君は、こういうひとときが、うれしい。子どものころに犬を飼っていたという。

 散歩から帰ってコーヒーを淹れて飲む。この日は、ディン君がベトナムから持ってきたベトナム産のコーヒーをいただいた。ディン君は、ベトナムでもよくコーヒーを飲むと言う。濃いコーヒーが好きだと言う。

 彼はこんな話をした。松本にベトナムの友達がいる。友達は留学を名目に日本に来た。友達は、日本語学校に通いながら、二つの職場で働き、お金を稼いでいる。日本語の専門学校に留学というのは、日本に滞在して稼ぐのが目的で、学校ではあまり勉強していない。学校も教えることよりも、生徒数を確保することを目的にしているようで、生徒が学校を休もうが、授業中眠っていようが、おかまいなし。その友達が病気になった。松本の病院で診てもらった。三日ほど病院へ通った。たいした治療もなく、病気は治った。治療費の請求を見て驚いた。8万円。保険に入っていたはずだが、なぜかわからない。

 友達はディン君のところに泣きついてきた。金を貸してくれ。でもディン君もそんな大金はもっていない。

 よくある話だと、思う。これは公的機関で相談したほうがいい。そこでぼくは、ひとまず治療費の請求書と受領書をもって松本市役所の市民課に行き、どうしたらいいか相談したほうがいい、とディン君に助言した。

 ディン君は友達に連絡を取ってみただろうか。