市議会で望三郎君質問に立つ

 今日はぜったい行かねばならぬ、と市議会傍聴に出かけた。新人議員の望三郎君、初めての出番、40分間の一般質問に立つ。
 議場に入ると、暖房がよく効いていて暖かい。傍聴席には十数人の市民や報道関係者の姿があった。前列の空席に座って、議場を見まわす。25人の議員のなか、望三郎君の後ろ姿は議員席の中央、最前列にあった。議員になったからには、野良着やジャンパーというわけにはいかない。スーツをびしっと決めている。
 望三郎君の発言の番が回ってきた。望三郎君は中央の演壇に着く。議員席に向かい合って市長をはじめとする行政側の席が並ぶ。望三郎君は行政側に質問を発する。
 発言内容は大きなテーマが二つだった。
 一つは、「認可外保育所の野外保育園に対する公的支援を要請する」、もう一つは、「これまで住民が反対運動を繰り広げてきた廃棄物処理施設の業者が河川道路を違法に使用している件について」。
 望三郎君は緊張しているだろう。だが、市長に対して、部長に対して堂々と、筋道立て定見を言い質問を展開した。
 一番目のテーマは、市長と健康福祉部長との質疑応答。自然の中での野外保育を行なっている保育園が、市には3園ある。その保育の意義を望三郎君は述べながら、公立保育園には助成があって、私立の認可を受けていない保育園はすべて保護者負担になっていることの不平等を突いた。現場を訪れて取材してきた資料にもとづいての質問と要請だった。この野外保育の3園には49世帯の子どもが通っており、そのうち42世帯は移住者であるという事実も明らかにされた。安曇野の野外保育園に自分の子どもを入れたいと移住してきた親たちなのだ。
 この野外保育園のテーマについては、行政側も保育園の願いをうけて、一歩前進させたいという意向が表明された。
 二番目のテーマの、産廃施設、ゴミ施設の問題は、建設のいきさつから住民は無視されてきた。認可したのは行政、そして9年を経ても行政は施設稼動容認の姿勢を変えない。ここに根本的な問題が存在するのだが、住民、業者、行政の三者の間に、裁判闘争をかかえているがために、市議会で望三郎君が取り上げたのは施設の許認可権を持つ行政へ業者の違法性を訴えることにあった。行政も議会もこれまで、この事案については、根本のところから討論を展開せず、民主主義の原理と理念の上に立って問題解決の糸口を見つけ出そうとしなかった。望三郎君は、苦肉の策で、具体的な業者の問題を取り上げたけれど、都市建設部長は、頑なに違法性を認められずの立場を変えようとしなかった。
 望三郎君の議会での初舞台、この難題をすえて真正面から行政に立ち向かったことに、ご苦労様と言いたい。本物の政治を生み出す本気の実践はここから始まる。ストレス大きいだろうけれど、同志がたくさんついている。傍聴席は満席になり、補助の椅子も用意された。