学級崩壊


       学級崩壊


学級崩壊はこちらでもありますか。
昨日も地元の小学校へ出かけたとき、校長先生に訊いてみた。
今年はないですが、昨年度は起こりました。


昨年、同じ市内の何校かで学級崩壊が起こった。
こんな田舎町の学校でも、同時多発的と思えるようにそれは起こっている。
担任の指導に対して、一人の子が言うことを聞かなくなり、それに同調する子が出てきて勝手に動き出し、担任の指導が入らなくなっていった。
一週間ぐらいで、あっという間の崩壊だった。
いったんそうなると、子どもと担任との関係を修復することは、なかなかできない。
結局、学年が替わって、担任も交代して、やっと収まった。


小学校の場合、一人の先生がクラスのほぼ全教科を教えているから、
教室のなかで起こっていることは、職員の中でオープンになることが少ない。
子どもの現象が他の先生の目に止まったときは、かなり進行してしまっている。
ベテランの、経験豊富な先生のクラスでも起こるし、むしろ経験をもっているから、今の状況に対応できず、以前のやり方に固執してうまくいかない。
プライドもあるから、自信を喪失し落ち込んでしまう。


一九九七年ごろから、急速に全国に広がったというこの現象、
日本の社会の根幹が、崩れてきているのではないか、という気がする。
社会の崩れが、子どもの乳幼児期の育て方を崩している。


子どもたちの半数以上が「家庭虐待」を受けています、と幼児をもつお母さんが言った。
保育所で保育士さんから聞いたというのだ。
虐待というのは、直接肉体の虐待もあるが、
親子のコミュニケーションの不足、無視や放任、
食事をまともに作らない、物や金を与えて好きなことをさせておく、
言うなれば「手抜き、対話抜き、しつけ抜き、心抜きの子育て」。


興味のないこと、嫌なことはしない、拒否する、
思い通りにならないと気に入らない、我慢できない、パニックになる、
そういう子どもが増えているというのは、そういう子どもを育てているということ。


尾木直樹氏の調査では、こんな親が増えているという。
園での小さなすり傷・切り傷や服が汚れることにも過敏な親、
昼寝をさせないでほしい、野菜やくだものを給食から抜いてほしい、など常識はずれの要求をしてくる親、
アドバイスされると批判されたとしか受け取れない親、
育児・教育情報に振り回され、とんでもないことで悩んでいる親。


中国から日本の学校に転入してきたYちゃんのお母さんも、
Yちゃんに日本語を教えに来ている中国人の先生もこう言う。
中国の学校は厳しかったです。先生は威厳を持っています。子どもはルールを教えられて小学校に入学してきます。
日本でもそれはそうだった。
人の心をくみ取り、相手のことを考え、家庭の中でお手伝いをし、
家族の中でのルール、社会のルールを守る子に育てるべきだと考えてはいる。
だが、親の、社会の、何かが崩れている。
その崩れが、子どもに集積してきている。


日本の家庭と社会、文化のひずみ・崩れが、日本崩壊につながっていくことを、
「学級崩壊」という現象が教えてくれている。