閉鎖的な日本


          閉鎖的な日本


2月28日の朝日新聞に、中国出身で日本国籍をとった人の投書が載っていた。
大阪市に住む36歳のその女性の意見は、日本人の気づかない側面を指摘している。
「閉鎖的な日本 悪戦苦闘した」と題された投書は下記の通り。


 中国出身で来日11年、日本国籍を取得し、小3の子どもがいます。滋賀県長浜市の幼稚園児殺害事件はひとごとではありません。
 私の体験では、日本の幼稚園は母親が中心でとても閉鎖的で、外国出身者には入りにくい世界です。
 日本人女性はグループ意識が強いだけでなく、自分と同じレベルの人としか付き合わないような感じでした。
 自分よりきれいな人はだめ、自分の夫より稼ぐ旦那さんがいる人もだめ、様々な点で付き合う相手を選択します。
 外国出身者はよく好奇の目で見られます。
 母親に友達がいなければ子どもも遊び相手がいない。
 私の子がグループの輪に入れない姿を見て寂しかった。
 私は友達作りに必死でした。
 皆に無理に合わせたけれど、日本人の建前と本音がなかなか理解できずに悪戦苦闘しました。
 つらい思いが積み重なると相当のストレスになります。
 夫は忙しく、核家族の子育ては想像以上に難しいです。
 2004年、日本人の結婚のうち15組に1組が国際結婚だったそうです。
 外国出身者も日本社会の一員として生きていかなければならない。
 明日、皆さんの隣人になるかもしれません。
 私たち外国出身の配偶者による努力は欠かせません。
 しかし、日本社会にどう適応させるか、子育て支援をどうするか、行政だけでなく、日本人の皆さんは考えてください。
 もう少し寛容に、もう少し普通の生活者として、本当の仲間として私たちを受け入れてもらえませんか。


ほとんど無意識に、自分のモノサシで、自分と異なると思う人を排除したり、口で言うことと本音の部分を別にしていることが、外国人、特にアジア系の人にとっては大きな抑圧になっている。
そこへもってきて核家族で、相談する人も支えてくれる人もいないとなると、これは苦しい。
中国の都会では日本に似た核家族状態も生まれてきているが、それでもまだ祖父母と一緒に生活するスタイルや、隣近所の人とのつながりは生きている。
昨日、カーショップの待合室に子連れのお母さんがいた。
東南アジア系の人のようで、待合室に置かれた子どもの遊具で、二人の幼児を遊ばせている。
その顔の無表情なことと、子どもに一言も自分の国の言葉でしゃべらず、抑えているらしい様子が感じられて、
自分も含めて日本人のなかにある閉鎖性が、このような人々を排除して、抑圧を強いているように思えてならなかった。
投書の最後の『寛容』が大きなポイントだと思う。