居住区で創る社会


 このところ、市の行政のあり方を見てきて、愕然とするところ多い。新市庁舎の建設問題も、市長と議会は住民投票を求める市民の動きを押しつぶすつもりのようだ。これは結局市民の意識と行動力の弱さでもある。
 そのことを考えているうちに、居住区の住民自治はどうなのだと、思うようになった。
 近く開かれる地区の評議員会で、こんな提案をしようと思う。その提案文を考えた。


         提案                  
 一つの提案をします。現代社会は、人と人の絆が薄れ、孤独化が進んでいます。社会づくりは、国や県、市による上からの行政と、今住んでいる地区の自立した自治活動・相互扶助という住民活動とによって進みます。
 こんな詩があります。

         六月     茨木のり子
              
     どこかに美しい村はないか
     一日の仕事の終わりには一杯の黒ビール
     くわを立てかけ かごを置き
     男も女も大きなジョッキをかたむける
   
     どこかに美しい街はないか
     食べられる実をつけた街路樹が
     どこまでも続き すみれいろした夕暮れは
     若者のやさしいさざめきで満ち満ちる

     どこかに美しい人と人との力はないか
     同じ時代をともに生きる
     したしさとおかしさと そうして怒りが
     鋭い力となって たちあらわれる


 理想の村を強く願い、夢見る力が現実を変革する武器として働くことを歌った、戦後詩の代表の一つです。
 この詩から半世紀、今「おらが村」を創っていく意識はどうでしょう。それぞれの居住区は一つの集落を構成し、もともとは「おらが村」だった。自力で助け合って生きてきた村だった。しかし、共同体としての村が消え、広域化した市になって、今の状況のままでいくと居住区の自立性、創造性はどうなるだろうかと危惧します。
 そこで提案します。「小さな区から始めよう、小さな区だからできることをやろう」と、そのために夢を描く寄り合いの提案です。
 みんなの希望、アイデアを出し合い、この小さな居住区を創る集いを行ないませんか。

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   <区民が画く夢、新春住民放談会>
 それは無理、夢物語だ、と一蹴するのでなく、ビジョン、夢、アイデアを、車座になって、大いに語り合いませんか。

■テーマ・私の抱く夢。

たとえば次のようなこと。
〇公民館をもっとこんなことに活用できないかという夢。(寄り合い運動の提案)
〇区民の助け合い、こんなことができないかという提案。(一人暮らしの人へ、悩みをもつ人へ)。
〇「譲ります・譲ってください・あげます・ください」運動。(我が家に眠っているものの活用)
〇この地を美しい地域にするためにこんなことをやりたい。(環境・景観)
〇地場産物の販売所をつくる構想。
〇子どもたちの憩い学ぶフリースペース学舎構想。
〇その他いろいろ
   夢を語り合う、楽しい、元気になる、こんな集いをやりませんか。


 実現するかどうか、提案してみないと分からない。
 みなさん、どう判断しててくれるか。
 実現できないとしても、みんなでまず話し合うところから何かが生まれるだろう。何もない水面に、ドボンと一つ石を落とす。