ストレス、疲労が引き起こす症状


左わき腹に赤い発疹が現れ、広がってきた。
これはてっきり先日、ホルター心電図の機器を貼り付けたばんそうこうが原因だと思った。
不整脈を調べるために24時間胸につけて、病院で看護師さんにはずしてもらったとき、肌から引き剥がす粘着テープが痛かった。
それが肌のかぶれになった、と自己診断して、そのうち治るだろうと様子を見ているうちに、発疹は大きくなり背中まで範囲を広げた。
ちくちくと痛みもある。かぶれに効く副腎皮質ホルモンの塗り薬があるからそれを塗ってみた。しかし効き目がない。なんとも説明のしようのない体調感がある。
家内に「早く皮膚科に行きなさい」と言われ、自分でも変だなという思いがあって、やっと重い腰を上げて病院に電話すると、今日は皮膚科の診断日ではないけれど、救急外来のほうで診ます、とのことだった。
医師は一目見て、
「これはかぶれではありません。帯状疱疹です。」
と断定した。
「えっ、心電図の機器の接着が原因ではないのですか。」
「関係がありません。痛いですか。」
「はい、痛いです。」
「夜、痛くて目が覚めるということは?」
「それは、ありません。」
医師の説明では、ストレスや疲労のあるとき、また免疫力が落ちたとき、子どものころにかかった水疱瘡のウイルスが出てくるのだという。体の神経節に潜伏したウイルスが、体が弱ってくるとそれとばかり出てきて、体内で増殖して攻撃を始める。高齢者に多く発症する。
思いがけない答えだった。不整脈との因果関係が機器の粘着テープにあると考えていたが、そうではなかった。
しかし、接着テープとの関係はなかったとしても、関連性について、ひらめくものがあった。
あのときの不整脈は激しく、夕方から翌日の病院の診察のときまで続いた。
不整脈も、何らかの心身のストレスが負担をかけて起こる、そして全くリズムの狂った心臓の動きを引き起こす。
そういう体調にあって、心臓が異常な動きをしていたときに、雌伏数十年、虎視眈々とねらっていたウイルスが隙をついて動き出したのだ。
何十年もの間、ウイルスはこのときを待っていたのか、よくもまあ、長い間潜伏していたものだ。
「薬を処方します。きつい薬で、高額です。」
処方箋をもって、薬局へ行った。抗ウイルスの薬はなるほど高かったが、健康保険のおかげで助かった。
飲み薬と塗り薬、帯状疱疹としばらく付き合うことになる。
針でちくちく刺すような痛みは当分続く。
発疹が出てきたとき、なんだか説明のできない違和感があった。それが「お知らせ」だった。
こういう「なんとなく変だ」という感じを見過ごしてはならないなと思う。