認知症

 

 

 

 年が年だけに、私も記憶していることがあやふやになることが多くなった。今日は何月何日? えっと何日だったけ。

 彼の名前は? えっとなんだったっけ。

 家内が一冊の本を生協から購入してくれた。タイトル「ボクはやっと認知症のことがわかった」、著者は長谷川和夫氏。

 表紙に、「自らも認知症になった専門医が、日本人に伝えたい遺言」と書かれている。

 この本を読んだ。全くラフで心温まる文章。

 いずれ自分も.認知症になる。

 

 あるページにこんな文章があった。

 

 「僕が大好きな物語があります。聖マリアンナ医大に勤めていたとき、同僚がコラムに書かれたものです。 

 

 公園を歩いていた小さな子が、転んで泣き出しました。すると四歳ぐらいの女の子が駆け寄ってきました。小さな子を助け起こすのかと見ていたら、女の子は、小さな子のかたわらに自分も腹ばいになり、にっこりと笑いかけたのです。泣いていた小さな子は、つられてにっこりとしました。しばらくして女の子が「起きようね」と言うと、小さな子は「うん」と言って起き上がり、二人は手をつないで歩いて行きました。

 

 僕はこの女の子は「パーソン・センタード・ケア」の原点を表しているように思いました。自分も一緒になって地面に横たわり、その子の顔を見る、ケアを必要としている人と同じ目線の高さに立つということです。それから自分で起き上がってみようと勧めます。このようなケアが日本中に広まったらいいなと願います。」