イスラエルの民、ガザの悲劇

 

 

    ガザの悲劇、上のような写真がネットにとどいた。

 1月29日夜、NHKクローズアップ現代」は、「ホロコースト生還者が語るガザ攻撃」という苦悶の映像を伝えた。

 第二次世界大戦前夜から、ヒトラーナチス・ドイツユダヤ人絶滅のホロコーストを企て、それはヨーロッパの他のいくつかの国にも広がり、犠牲者は570万人に及ぶとも推定されていた。戦後、生き伸びたユダヤ人はアメリカなど各地に移住したが、自分たちの国を再興しようとシオニズム運動が起こり、ヘブライ3000年以上の歴史をもつ旧約聖書の地に、新しい国家イスラエルを建設した。

    「クローズアップ現代」に登場した、第二次世界大戦前から戦後を生き延びてきたユダヤ人は、90歳を越えているだろう、深い皺に、苦悶と葛藤をにじませて、「ガザ攻撃はまちがっている、なにゆえ祖国はこのような戦争を行っているのか」と、語っていた。

    「ポグロム」という言葉が出てくる。それは、ユダヤ人に対する組織的な掠奪や虐殺を意味するロシア語である。「ポグロム」という言葉が世界的に有名になったのは、1903年4月の、ウクライナのキショフにおけるポグロムからであった、ロシア皇帝は極端な反ユダヤ人を政策にした。皇帝に対する国民の批判、不満をそらせる目的で、ポグロムを奨励した。それが後のナチスドイツによるユダヤ人虐殺につながっていった。

    ナチスによるユダヤ人虐殺、その迫害から生き延びた人たちの、重い重い問いかけ。なぜにその被害者だったユダヤ人が、ガザの罪なき人々を殺すのか。

    低く、絞り出すような魂の声、その発言は、イスラエルの政府や、若いイスラエル人にとっては不都合な発言だろう。ハマスが攻撃をしてきた、彼らがイスラエルを滅ぼそうとしているのだ、ハマスへの反撃は、我らの存亡にかかわることだと。

   深いしわを顔に刻んだ老ユダヤ人は、今のイスラエル政府や国民の多数にさからうことは 自分の身に危険でもある。しかし今の祖国を憂えるあまり、危険を呈して「ガザ攻撃は間違っている」と訴えていた。

 番組の終わりに、老いたるその発言者は今のところ無事であるという取材者の字幕が入った。