農家の嫁の作ったプリン


 ドクダミ

キュウリを食べるラン。お昼のおやつ。



タカオ君は毎年、無農薬有機の「地這いトマト」を栽培して、トマトソースやジュースをつくり、
エゴマから「エゴマ油」を加工し、
アイガモを田んぼに放して米作りをしている。
いま、トマトの収穫期、我が家ではタカオ君のトマトで自家製のソースを家内が作ってきたから、今年もほしいと、タカオ宅を訪れた。
朝の8時、タカオ夫婦は地元物産を販売している「サラダ市」にでも置くのだろうか、小袋に入れたのをつくっていた。
山のすぐ麓、谷川沿いだから気温は我が家よりも低い。
「これ、うちのトマトジュースです。他のジュースを飲み比べてみたけれど、これほどおいしいのはないですねえ、ハッハッハ。」
日に焼けた顔がぐにゃぐにゃとなった。


タカオ君の隣に、マサト・イクヨ夫婦が住んでいる。
ばあちゃんのサチヨさんと話していたら、サチヨさんの娘のイクヨちゃんが顔をのぞかせ、
手作りプリンを「サラダ市」にだす準備をしているところだと言う。
「あ、それならぼくも二つほしい。」
まだイクヨちゃんのつくったプリンを食べていなかった、いっぺん食べてみたい。
イクヨちゃんはプリンを2個紙袋に入れてくれた。
1個200円。
今日のお昼のデザートができた。


昼食後、洋子とプリンを食べた。
開けてみると、プリンのやさしそうなクリーム色が現れ、ところが不審に思う、表面の黒い極小の点、
これはいったい何?
「カビじゃない?」
うーん、これよくないで、こんなのを店に置いたら信用まるつぶれや。
「すぐ電話しよ。」
電話して話すと、イクヨちゃん、
「それ、バニラビーンズです。香りです。」
「そのこと容器に書いてあるの?」
「説明の紙に書いてあります。」
原材料の牛乳もどこのものを使っているかも書いてあるということで、一安心した。


イクヨちゃんの心を込めたプリン、
このままプラスチック容器のまま食べるのもどうかと、お皿にひっくり返して入れ直し、
キャラメルソースの方を上にしてスプーンを差し入れた。
一口食べてみた、おいしい。
こりゃ、うまいぞ、よくできている。
イクヨちゃんに電話で、
「すばらしいよ。このプリンに名前付けている?」
「はい、『農家の嫁のつくったプリン』です。」
なるほどねえ、農家の嫁ねえ、夫のマサト君は酪農家で働いてきて、去年から畑作に転じて自力でやっている。
土地を借りてのIターン農業だから、生活は楽ではない。
プリン売れているかい?
今は暑いから、一日4個か5個。
へえ、それじゃ大変だ。
このおいしさを味わったファンができたらいいなあ。


今朝、涼しいうちにと、ヒデタケさんの畑の一角を借りて作っているサツマイモの草とりをしていたら、ヒデタケさんがメロンを収穫しに来て二つプレゼントしてくれた。
「こっちの黄色いのは、今日食べたほうがいいだで。」
ありがたき幸せです。
ヒデタケさんに、『農家の嫁のつくったプリン』のことを話した。
農業だけでは大変だあ、4個か5個ねえ、そりゃあ大変だねえ。


今度、プリンをヒデタケさんに食べてもらおう。
家では、洋子がトマトソースを一日かかってつくり、瓶詰めしている。
トマトの量は40キロもあった。