8月9日、鐘をつく(ナガサキ)


今日は「ナガサキ原爆の日」。
二つの鐘を児童館の相棒のサルタさんと二人でそれぞれ打った。
ネパールから贈られた「平和の鐘」はサルタさん、
「愛の鐘」はぼく。
朝の出勤時にサルタさんに話すと、二つ返事で賛成してくれた。
小学4年生のアサヒちゃんもぼくの横で一緒に祈る。
6日の「ヒロシマ原爆の日」に、鐘を打ったのはぼく一人だった。
今日は三人になった。


11時2分きっかりに、打ち合わせどおり、サルタさんが打ち、
呼応してぼくが打つ。
カーン、コーン、カーン、コーン。
二つの鐘は50メートルほど離れている。
「平和の鐘」が響くと、「愛の鐘が」鳴り響く。
一分間、鐘を打ち鳴らし、黙祷をした。
アサヒちゃんも黙祷をした。


アサヒちゃんはまだよくヒロシマナガサキのことを知らなかった。
「世界中から原爆をなくして、戦争のない世界をつくろうという願いだよ。
たくさんの人が亡くなったからね。その人たちにも祈るんだよ。」
アサヒちゃんは、真剣な顔で聴いていた。
遊んでいるときの顔ではなかった。


ちょうどその時、市役所の庁舎で黙祷が行なわれていた。
庁舎の窓は、鐘の音が聞こえるように開け放たれていた。
二つの鐘の音は聞えただろう。


「来年は、もっとたくさんの人が、鐘を打つことになるよ、きっと。」
とサルタさんが言った。


今日は公園の緑がみずみずしい。
久しぶりに早朝に降った雨が緑をいっそうさわやかにした。
トンボとツバメがたくさん舞っている。


午後、子どもたちとアイスクリームを作って食べた。
卵と牛乳、砂糖とバニラエッセンスを材料にして、氷で冷やしてつくる。
ヒロシマナガサキ
暑い夏。