[安曇野]夜明けの空


日の出前、東の空から染まり出した茜色、
みるみる中天を焦がし、壮大な宇宙のショーになっていった。
森を染め、家々を染め、茜色は家の中まで染めつくした。



光と色の変化は止まることなく、
潮が引くがごとく茜色が退いていくと、
西の空に虹が出た。
野から野へ巨大な虹のアーチ。



それも刻々移り行き、
虹が消えた時、雨粒がさっと音もなく落ち、過ぎ去っていった。


常念岳と横通岳のてっぺんに光が当たった。
てっぺんが白く、降雪があったかのように、白く、
夏の今、雪降れり、と思う。
茜色のモルゲンロートではなかった。
白いモルゲンロート。


それもまたたくまに消え、
山々は薄墨色に、
いつもの日の出前の、
眠りの中の山に変わった。


東の空は、雲が覆う。
日の出は間近。
一日が始まる。