白鳥




朝、灰色の雪雲の合間から薄日がさす。
風強し。


東の空を飛ぶ鳥があった。
広域農道の上あたり。
羽の動きのゆったりと重々しく、
飛び方の威厳と優雅、
何かしら胸に迫りくる、
まぎれもなく白鳥。


五羽の群れ、
こちらに向かいながら、北に旋回し、
別の二羽がさらにこちらへ飛びつつ、
同じ方向に長い首を伸ばして、はばたいていった。
その存在感の大きさ。


犀川の白鳥湖から、飛び立ち、
餌場に向かうところだろう。
穂高の田んぼ、
氷を割って、水場をつくり、
餌を用意する人たちがいるところ。
鴨たちの群れと餌をわかち合うところ。


ゆったりと、ゆったりと、
飛び来たれ、
白鳥。