ふきのとう味噌づくり

 今日は一日、春の大地の命、ふきのとう味噌を作っていた。
 この十日間ほど、朝のウォーキングで、ふきのとうを見つける。どこにでも生えているわけでなく、探してもなかなか見つからない日もある。田のあぜに、少し黄緑がかった花芽を地面からヒョイともたげていて、一個見つかるとその近くにまたいくつか見つかる。枯れ草の間から頭の一部を出したばかりのや、もう少し突き出て小花を咲かせているのもある。その花芽の部分を指で摘み取る。10数個摘んで帰った時もある。洋子は夕方のランちゃん散歩で摘んでくる。例年芽を出す場所を知っていて、そこへ行って摘んでくる。
 こうして毎日少しずつ摘んできたのをポリ袋に入れて冷蔵庫に保存していたのが溜まってきたから、これでふきのとう味噌を作れば人にも贈れるかもしれないという思いが湧いた。それで、ぼくが自分でつくることにした。これまでは洋子が作っていたけれど、教え子たちに贈ろうと思ったから、当然ぼくがつくることになった。
 初めてのふきのとう味噌づくりだ。インターネットで作り方を調べると、いくつか異なった作り方がある。大きく二つのやり方の違いがある。

 一つは、ふきのとうを細かく刻んで油でいためて、その後味噌と合わせるやり方、もう一つは、ふきのとうを洗って熱湯でゆでて、あく抜きをしてから、味噌と合わせる。前者は、あくぬきをしない。春の自然をそのままいためる。
 ぼくは前者の方法を採用した。洋子のやり方も、直接いためるやり方のようだった。
 店で、米麹(こめこうじ)の信州味噌と砂糖を買ってきた。サラダ油、みりんを用意する。
 まず、味噌にみりんと砂糖を若干入れて、練っておく。
 次に、深底のフライパンに油を入れる。
 ふきのとうから枯れ草などを取り除き、5ミリ角ほどに刻む。
 フライパンを熱して、ふきのとうを入れ、全体に油が回るようにいためる。
 そこへみりんで練った味噌を入れ、混ぜ合わせ、いためる。甘みが足りなければ、砂糖を入れる。
 味噌を1キロ強使って、3回に分けて作った。
 最後の段階で、状態を見ながら、味見をしてみたら、2回目が、いちばん出来がよかった。炒める時間、火加減、混合するものの量などの違いが、微妙な味の差異になって出る。
 それでも、3回とも、おいしさに変わりはない。熱いご飯の上にのせて食べたら、オー春だ、春だ、とそのおいしさに喝采すること請け合いだ。

 明日、こんな手紙を添えて、贈りたい人に贈ろう。
 「ふきのとう味噌をつくりました。春の命です。ほろ苦い味は春の命の味です。熱いご飯の上に少しのせて、お召し上がりください。ふきのとうの香りがプンとします。
みなさんの幸せを祈ります。」