春


枯れ草と木屑におおわれていた、
枯れ色の庭に、
点描画の緑の点が点々と、
水仙の葉と花芽が、
申し合わせて、
祖先からの約束を一斉に、
いのちの静かな快哉

春の七草は、何だったかな。
「セリ、ナズナゴギョウハコベラ
ホトケノザスズナスズシロ、これぞ七草」
と昔の歌があったのを思い出した。
スズナスズシロは、蕪と大根、
ゴギョウハハコグサ
子どものころ、セリは水場に生えていた。摘むと強い香りが鼻に来た。セリと牛肉とを煮る。砂糖と醤油で味付けをして、
そのうまさ、たまらない、セリの香は食欲を刺激した。
ハコベは、ヒヨコの餌にとってきた。
ナズナ、今年は食べなかったなと気づいたら、惜しい気がした。

夏の西日を防ぐために窓のそばに、シャラの木を植えることにして、
ホームセンターの植木売り場を見に行った。
シャラの別名は、夏ツバキ。
手ごろな大きさで、値段の安いものをと、探したら、二本だけあった。
でも小さい苗だ。
電話帳を繰ったら、園芸店の卸売りの店が見つかった。
日本アルプスサラダ街道を通って行ってみた。
店らしきところに着いて、
見れば、これはまいった。
広大な敷地にいろんな木が植えられ、その量たるや、
何千本か何万本か。
大型トラックが来て、苗を積んで行く。
家の高さほどもあるような植え木もある。
夏ツバキ、2メートルの高さのもの一本を買った。
根株が重い。とても一人では持ち上げられない。
車に積んでもらって持って帰り、家内と力を合わせて一輪車に乗せた。直径50センチほどの植え穴を掘り、
西の窓近くに植えた。
夏ツバキ、もう新芽が膨らんでいる。
根付けよ、シャラ。
夏の暑さに負けるなよ。