今日も雪


今日もちらちら雪が舞っている。昨日、種まきが遅かったために、充分大きくならなかった青首大根が雪に埋もれているのを掘ってみた。
土は凍土になっている。スコップに足を掛け、何度も力いっぱい差し込んで、やっと小さな大根を三本、土ごと掘り出した。次に大根にくっついて離れない凍土をたたいてはがす。一本が真ん中でぽきりと折れた。大根も凍っている。
これまた、播くのが遅かったホウレン草と雪菜は、ビニールのトンネルの中にあるのだが、雪に覆われることはないものの、生育はとんと進まない。
昨年の暮れに掘りあげたヤーコンと充分育った白大根のほうは、今は工房の中の発泡スチロールのなかに貯蔵してある。昨日、家内の作ってくれたヤーコンのキンピラがおいしかった。

厳冬期にはいったところだが、どことなく寒は春の兆しを含んでいる。
アジサイの新芽は膨らんでいるし、コブシもライラックも花芽が大きくなっている。
いつのまにやらスイセンの葉っぱが土から伸びてきている。


チャコとチコ、二匹の犬を連れて毎朝散歩しているオバチャンは、
「今朝は、マイ7」とか「今朝は、マイ4」とか、報告してくれる。
マイナス7度、マイナス4度、家の外に温度計が置いてあるらしい。
チャコは、首にネッカチーフを巻き、チコはフードつきの上着を着ている。
我が家のランは何もなし。
「お前の先祖はオオカミだぞ。零下30度でもへっちゃらだったんだぞ。」
と言うのだが、昼間庭に出していると、
雪が降ってきたよ、入れてよ、
風が強くなったよ、入れてよ、
と、催促吠えをする。
「いくじなしめ、お前の先祖はオオカミだぞ。お向かいのマミを見ろ。夜も外の犬小屋で寝ているぞ。」
けれど、真剣な顔でこちらを見てまた吠える。しかたがないね、甘い飼い主はつい家に入れてやる。


二、三日前は空晴れ渡り、満月の夜だった。
月がこうこうと冬空に冴え渡るとき、北アルプスの雪嶺が白く西の空に浮かび上がる。
この幻想的な眺めはわが心を引き付ける。
普段は見えない夜の山が、この満月と雪山の重なりによって、太古の山のようによみがえってくる。


雪が舞っている。
植物も動物も、耐えている。
もうしばらくだ。