おいしいね、ゴマ


         ゴマとエゴマ


作りたてのほうれん草のおひたしは、うまいもんだ。
熱湯でさっとゆがいて、軽く湯を切ってからすりゴマとカツオの削り節をふる。
そして、めんつゆをかけるだけ。
少しふにゃっと柔らかく、鮮やかな緑色、まだ温かみが残っているのを食べる。
実においしい。
研修所の宿舎で一人でつくる夕食、湯豆腐とともによく食べた。


すりゴマをふるというのは、同僚の上木原さんから聞いた。
めんつゆがおいしいというのは、いつもの商店街の八百屋のおばさんから聞いた。
地元産のほうれん草は、この八百屋がいちばん安い。
5株ほど入った袋が、80円なり。
一人で使うとなると、たっぷり食べられる。
すりゴマも、めんつゆも、同じ八百屋で買った。


ほんとうはゴマも自分で栽培して収穫し、
煎って、すりこ木ですって、すりゴマにするのがいいのだが、
今は店で買っている。
加工された商品は、どこの畑でとれたゴマなのか。


ゴマは、今から五千年以上も昔からナイル川流域で栽培されていたという。
それがエジプトからメソポタミヤ、インドへと伝わって、中国へ。
中国から朝鮮、そして日本に来たのは、紀元前二千年ころとか。
ゴマには、おどろくべき健康成分が含まれていると言われている。
昔の人はそれを体験から知っていた。
現代科学は、それを解明しようとしているらしい。


孝夫君は、エゴマを栽培して、エゴマ油を作っている。
安曇野エゴマクラブの代表だ。
去年の暮れに、我が家に一ビン持ってきてくれた手作りエゴマ油に、
手書きの説明書が添えられており、そこにこんなことが書かれていた。


     エゴマ油の利用法

○炒め物
○ドレッシングの材料
○ラーメン、味噌汁などの汁物にかける。
○飲み物、ジュース、コーヒー、紅茶に小さじ1ほど入れる。
○野菜のおひたしにかける。
○ご飯に混ぜて巻き寿司に。ご飯に醤油とエゴマ油をかけて。
○ナスやカボチャのフライパン焼きにたっぷりと。
エゴマ油に塩少々、パンに塗ってバターのように。
○蜂蜜と一緒にパンにつける。
  <毎日スプーンに一杯弱は、生でとるようにしましょう>
 油脂は多くの病気とかかわっています。伝統的な日本食では、総エネルギー量の油脂に占める割合は、8から10%でした。食生活の欧米化により、油脂の占める割合は年々高まり、現在は25%を越えています。現在食用油のなかで、リノール酸が豊富に含まれている紅花油、コーン油、大豆油がサラダ油として主流を占めていますが、リノール酸の過剰摂取は寿命を短くしたり、癌を発生させたり、アレルギー、心筋梗塞の原因になりやすいと証明、発表されています。しかも原料はほとんど輸入に頼っています。(油の自給率は、3%)
 原料の、菜種、大豆、とうもろこし、ゴマを輸入して油をしぼり、しぼりかすを家畜の飼料にし、肉を食べ、私たちの食は、アメリカ式肉食に変わってしまいました。海外から輸入するための保存料、農薬漬けの加工食へと。
 エゴマ油は、神経系、脳の働きに必要な必須脂肪酸です。現代人は、多くの人が超不足状態です。
 エゴマ油は、α‐リノレン酸を最も多く含む油です。α‐リノレン酸は、体内で、魚に多く含まれていることで知られるDHA・EPAに変化します。一日の必要量2.5g(大人)に対して、0.4gしかとられておらず、ずいぶん不足しています。WHO(世界保健機構)でも、α‐リノレン酸不足が、心臓疾患、視力低下、学力低下を招いていると警告しています。一方、リノール酸は、卵、ご飯、パンにも一日の必要量の2倍は含まれており、そのほかの油料理を食べることは過剰摂取につながります。
<無化学肥料・無農薬で栽培したエゴマを手間ひまかけて、きれいに洗い、一番搾りした、安心安全なエゴマ油です。家族みんなの健康のため、エゴマ油を食卓に!>


なるほど、そいうことであったかい。
ゴマとエゴマは、全く異なる品種ではあります。ゴマはゴマ科、エゴマは、シソ科の植物です。