明るい便り


        明るい便り


「荒れてる学校で悩んでいる教師は山ほどいます。
そんな仲間たちを力づけてやってください。」
それに応えられるかどうか分からないが、
ぼくは自分自身の経験、
額に鉛をぶらさげたような、あの重い格闘の日々を思い出しながら、
何度か激励のメールを送ってきた。


教室という閉鎖空間のなかで、
授業はたったひとりの舞台。
面前に子どもたちの実態がある。
勝負ではないが勝負だ。
その重荷にひざを折る教師もいよう。
ひとりの世界にとじこもっていると、
心はうつにおちいっていくばかり。
額にしわを寄せ、やっても無駄と絶望の、
ため息ばかりをついていて、
どうして子どもに伝わる大胆な実践が生まれてこよう。
自分の弱さも、苦しみも、
どんなに小さな喜びや希望も仲間に出して、
心を通じ合う教師集団をつくるんだ。
困難な状態こそ勇気凛凛。
一歩踏み出せば見えてくる。
子どもの心をとらえる実践から、
何かが動き出す。
子どもたちのひとりひとりは、荒れる学校を望んではいない。
心の安定する楽しい学校を望んでいる。


3学期が始まって、
メールがとどいた。
おう、おう、うれしい春のきざしだ。


‥‥ほんのちょっぴりの期待をもって子どもたちを迎えました。
「やっぱりあかんなあ」とため息をついたものの、
でも、何かが変わっていることを感じました。
 その一つは、M先生が、ふっきれたように明るくなっていること、
「こんなことしたら?」という提案に、
「やってみます、子どもたち喜ぶと思います」
と、大変積極的になったことです。
子どもたちとの心の接点が、
感じられるようになってきたのかもしれません。
6年担任の若い4人の先生たちは、
時間の空いているときは、
下校時間までサッカーやキックベース、ドッジボールなどをして、
子どもとかかわっています。
きっといつか必ず心は繋がると思います。
みんなで頑張っていきたいと思います。
今の職場は、私が今まで勤めてきた中で、
いちばん職員があったかい、素晴らしい所だから。‥‥


この教師たち、このぬくもり、これこそが力の泉、
痛みを分かち合うこの教師たちの明るさ、楽しさが、
学校を変えていくだろう。


三学期は卒業・進級の学期です。
その出発の舞台を子どもたちと共に創りませんか。
この共同制作は、学校を変える大きなチャンスです。
学校を変えるのは子どもたち、
その意欲を引き出すきっかけを教師が用意するのです。
心を寄せ合い、力を結集して、困難を楽しみ、
チャレンジしていく先生の顔は、
子どもたちの力を引き出すでしょう。
果敢に取り組む先生たちに、
ぼくはエールを送ります。