ボブディラン「風に吹かれて」

 

 

 ボブディランの「風に吹かれて」を聴きたくなった。

 しみじみと切ない思いで、歌を聴いた。

 世界のあっちでもこっちでも、殺し合いが起きている。奪い合いが起きている。

 ぼくは今、緑の野の風を感じている。

 人間という生き物を想いながら、ボブディランの「風に吹かれて」を聴いている。

 

    ▽     ▽    ▽

 

  どれだけ多くの道を歩めば

  人は人として認められるのだろう

  どれだけ多くの海を渡れば

  白鳩は砂浜で休めるのだろう

 

  どれだけ砲弾が飛びかえば

  撃つことが止められるのだろう

  友よ、答えは風に吹かれている

 

  山はどれだけの年 存在できるのだろう 

  海に浸食されるまで 何年かかるのだろう

  ある人々が自由になるまでに

  人は何年、顔をそむけるのだろう

  見ないふりをして

  友よ、答えは風に吹かれている

 

  人は何度見上げれば

  空を見ることができるのだろう


  人はどれだけ耳を持てば

  人々の悲しみが聞こえるのだろう

 

  どれだけ人が死ねば

  余りにも多くの人々が死んでしまったと

  気が付くのだろう

  友よ、答えは風の中に舞っている