朝、ふと本棚の背表紙の文字が目に入った。坂村真民著「生きてゆく力がなくなる時」、何箇所に以前のしおりの紙が入っている。
そこをまた繰ってみた。
詩を書く心
死のうと思う日はないが
生きていく力が無くなることがある
そんなとき大乗寺を訪ね
わたしはひとり
仏陀の前に座ってくる
力わき明日を思う心が
出てくるまで座っている
坂村真民は、セント・ジェルジ(ノーベル賞・生化学受賞者)の「狂った猿」という本を読んで、全人類の必読書であると思った。その真民の詩と、セント・ジェルジの一文も改めて読む。
坂村の詩。
神が人間を作られたのは
失敗だったのだろうか
それとも試みに作って
もしも悪に向かうようだったら
こわしてしまうつもりであったのだろうか
水爆までも作り
創造主をも恐れぬ人間どもを
どんなにか苦々しく
思っていられることであろう
やがて核戦争が起き
人類滅亡の日がやってくるであろう
月にまで到達した人間でありながらも
月のようなこの地球も
死滅してしまうであろう
五十億年の歴史が
一瞬にして灰燼に帰すということは
なんという不幸なことであろうか
セント・ジェルジの警告。
「デオキシリボ核酸(遺伝子の本体、DNA)は、自然の包容力に守られ、この世の中で一番大切なものです。人類は多くの伝染病や飢餓を経験してきたわけですが、自然は、この物質をそのままの姿で保存してきました。すべての生命がこのデオキシリボ核酸に依存しています。ところが人類は、歴史上はじめて、デオキシリボ核酸を破壊する手段を知るに至りました。高エネルギー放射が、破壊の主犯人です。核戦争は、従来の戦争とは似ても似つかぬ性格を帯びます。核戦争が起きたら、たとえ生き残ったとしても生存者は健全な子を産むことはできなくなります。そうなってしまっては、もうとりかえしがつかないのです。」