今朝の朝日新聞「オピニオン&フォーラム」のインタビュー記事に注目。
中国の歴史学者、葛兆光(コーチャオコワン)さんの「よみがえる帝国の記憶」論。
中国にこういう人がいた。
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「『ウクライナはロシアの歴史の一部だ」と語り、プーチンはウクライナを侵略した。
失われたものを取り返すというプーチンの主張は、私たち中国人にも受け入れがたい。
ウラジオストック、サハリンは、清朝のものです。プーチンの理屈が通るなら、中国に返せ、という話になるのではないか。帝国時代の領域意識と、現代の主権国家の領土は別のものだ。」
「プーチンの発想は君主の発想に近く、ロシア帝国の記憶がも.たらしたものだ。羽田正・東大名誉教授は、ロシアと中国だけが、依然として帝国にほぼ等しい巨大な領域と複雑な人間集団を引き継いだと指摘した。現代国家は明確な国境を持つ。大国も小国も平等で、優劣の差は存在しない。帝国の世界観は主権国家体制とは相いれない。」
「大きな中国が生まれたことで、中国とは何かという問題が生じた。私は新疆ウイグルもチベットもモンゴルも古来中国だったというのは正しくないと考えている。」
「中国とは何か、中国人とは何か、中国は秦や漢以降の歴史の中で、小さな中国と大きな中国という変化を経験してきた。北方の異民族国家の圧力にさらされた宋の時代に漢族を中心とした国家としての明確な意識が生まれ、漢族イコール中国人というアイデンティティの基礎が築かれた。ところが元や清が広大な領土をもったことで、モンゴル族やチベット族、朝鮮族、ミャオ族、イスラムを信仰する諸族らを含む大きな中国が形成された。
少数民族問題や、国境問題などの多くは、小さな中国と大きな中国という二つの中国観が混同されてきたことに由来する。
モンゴル人、ウイグル人、チベット人、彼らは自分たちは中国人だというアイデンティティをどれだけ持っているか。この問題はまだ解決していない。」
「中国は現在の国際秩序を尊重するのか、新しい秩序を打ち立てようとするのか。」
「プーチンの轍を踏めば、世界は大混乱するだろう。」
「