キツネ

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 朝、日の出前、氷点下10度。二本ストックをついて散歩に出る。少し雪が残っている。

 第二ベンチに来ると、眼の端に何か動くものが見えた。広がる田野が一瞬に視野に入り、ほんのかすかな動くものも、眼はとらえる。

数枚向こうの田圃の畔、何だろう。身動きしないで立って見ていると、それはこちらに近づいてきた。

 キツネだ。少し動いては立ち止まり、警戒を怠らずにやってくる。二十メートルぐらいの所まで来た。ぼくは微動だにしないが、気配を感じたのか、もと来た方へ動き出し、道路に出て、ぼくを確認するとまっしぐらに走り去っていった

 

 キツネも、今は食べ物に事欠いている。

 水路は凍り付いている。セグロセキレイは凍った水路に入り込んで、餌をさがすが、何もない。