我が家のジョウビタキ

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  毎日、「おジョウ」が楽しみだ。ガラス 戸一枚を隔てて、ベランダのテーブルの上、わ.ずか五十センチほどの距離にいて、こちらを眺めている。

 「おジョウが来たよ」

 これが、我が家の朝のあいさつ。

 細い線香のような脚、黄金色の産毛のようなお腹の毛、ふわふわと柔らかそうだ。つぶらな目は、一ミリほどの大きさ、その目で、こちらを見ている。たぶん、こちらの姿をとらえていると思う 。もう家族だね。

 ランちゃん散歩の時にとってきた草の実を「おじょう」が食べると分って、それ以来あちこち野を歩いて、僕も妻も実を探した。ベランダにそのつる草の実を置いておくと、朝に昼に夕べに、やってきては実をついばんでいる。

 ところが、黄色に色づいた実は、もうなかなか見つからない。進太郎さんの家の垣根に這いあがっている実を見つけ、取っていたら、田植えシーズンになるとよく見かけるオッチャンがウォーキングでやってきて、

 「それ、ヘクソカズラの実だよ。」

と言った。

 「ジョウビタキが食べるんですよ。」

 「そうそう、ジョウビタキ、食べるね。それ毒があるというけどね。」

 「毒? それじゃ、ジョウビタキ、大丈夫かなあ。」

 「もう、実が熟れているから、大丈夫じゃないかな。」

 オッチャンはそう言って、とっととウォーキングしていった。

  飲み水はどうしているのかな。そこで小さな器に水を入れて、餌場に置いてゃったが、今朝はコチンコチンに凍っていた。スーパーマーケットでもらってきた牛か豚の脂肪の塊もおいてやったが、見向きもしない。玄米少々、米ぬか少々、置いてやったが、これはスズメさんが失敬していった。

 ヒヨドリも気づいたらしい。近くまでやってきて、ねらっているが、人間を警戒して、米ぬかを一度食べたが、それきりだ。ギャングみたいにやってきては、野菜くずをあさったり、春にはせっかく咲いたヒメコブシの花を食べてしまうから、我が家では人気が悪い。そのうち「おジョウ」の餌場を占領されてしまうかもしれない。

 妻が、ツルウメモドキの実をもらってきた。これも餌場に置いた。今朝はそれを「おジョウ」が一粒ついばんだ。