アオサギ

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     (ストローベリー ムーンの日)

 

 

 田に水が入り、田植えが終わった後しばらくは、カエルの声が盛んになる。昔は夜になるとやかましいくらいにカエルの声が夜のしじまを埋め尽くしていたが、現代農業になって、このなつかしいカエルの合唱は、田植えの後の一時期に限られるようになった。今年も、六月になってからも田植えする家があったが、ほとんどの田は五月中旬までに田植えが終わっている。だから今は闇に響くカエルの合唱は少しばかりだ。

 今の時期、アオサギの群れをよく見かける。多い時で十羽ほどが数枚の田んぼに散らばってたたずんでいるが、たった一羽で立っているのもいる。

 アオサギは大きい。サギの仲間では最大だ。翼を開くと約1.6メートル、体長は約93センチ、首と脚が長い。このサギは田んぼの中に立って、人の姿を遠くに見つけると警戒して人の動きを観察する。潜望鏡のように長い首を天に伸ばし、じっと身動きしない。この時、体は、頭、首、体、長い脚と、ほぼ一直線になったように見える。それらがじっと直立して動かない姿に、ぼくは声をかけたくなる。

「おいおいおい、そんなに警戒しないでもいいよ。そこまで行かないから。」

 だが、距離が五十メートルほどに近づくと、翼をゆったりと動かして一斉に飛び立ってしまう。そして少し離れたところにまた降り立つ。人に慣れたカラスやトビは道端にいて、人が通っても逃げもしないのがいるが、やはりアオサギは人間との距離が離れている。

 アオサギがゆうゆうと飛ぶ姿は、長いくちばし、頭、長い首、胴体、長い脚が、S字になる。

 水田には以前、カモも来ていたが、もう姿を見ない。水田の中をのぞいたら、動く生き物が見られない。昔の田んぼは無数の生き物が楽園をつくっていたものだが、今は鳥たちも食べるものがカエルだけなのか、そのカエルも少なくなっているように思う。