G20サミット

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G20サミットの開幕前日、毎日虫取りして育ててきたキャベツや、レタスなど、初夏の野菜を箱に入れ宅配便で息子家族に送ろうと郵便局へ持っていくと、

「明日から大阪はG20サミットで、明日中に届けることはできないかもしれません。二日ほど、遅れることを承知してください。」

と言われた。

 大阪は交通も大混乱だろう。ニュースがG20の様子を伝えていた。が、宅配便は無事翌日の夜に届いたという連絡がきた。

 

 内田樹の「日本の覚醒のために」という講演集が一昨年出版されている。そこに日本の政治、外交について内田が率直な見方、提言をしている。

 ー―戦後日本の民主主義社会から、なぜこのような安倍政権が出てきたのか。

 日本が戦後一貫してとってきた戦略は「対米従属を通じて対米自立」だった。

  僕(内田)は、これを「のれん分け戦略」と呼んでいる。丁稚奉公に上がって、こつこつ働いて手代になって、番頭になって、大番頭に取り立てられて、そうしてある日、大旦那から「おまえも長いことよく店のために忠義を尽くしてくれた。これから一本立ちしていいよ。のれん分けするから」と言われ、晴れて一国一城の主となる。

 これは日本社会に伝統的に存在してきたパスだ。日本人は、「主人に忠義を尽くし、従属し、ある日天賦の贈り物のごとく自立の道が開ける」という構図には違和感がない。戦後「対米従属を通じて対米自立」という戦略に飛びつき、その異常さに気づかずに今も延々と続けている理由は、「のれん分け戦略」というものが日本人の社会意識のなかに深く根を下ろしているからだ。

 しかし、占領期には合理的な戦略も、それが終わって独立を回復してからなおも続けているのはなぜか。80年代から後、日米が国益をかけて厳しい水面下のバトル、取引を展開するという感じがなくなった。ひたすら対米従属して、アメリカが下賜してくれる「ごほうび」を待っている。

 民主党政権になったとき、鳩山首相の沖縄の基地問題についての発言は、一騒動になった。沖縄の基地負担を軽減したい、できたら米軍基地は国外に持って行ってほしい、鳩山はそう言った。主権国家なら外国の軍隊が恒常的に国内に駐留し、その費用を自国が支払うということは、軍事的に従属していることになる。米国の軍事拠点だったフィリピンは、米軍の駐留を認めないと舵を切った。韓国も在韓米軍を縮小させた。しかし鳩山首相は引きずりおろされてしまった。あの当時、メディアも連日「アメリカの信頼を失った鳩山は辞めるべきだ」と報道した。安倍首相は、民主党政権を「悪夢の時代」だったと今も繰り返している。

 「アメリカの国益を最大化することが、日本の国益を最大化することになる」という信じ込みが日本社会を支配している。

 2013年、オリバーストーンが広島で講演し、こんなことを言った。

 日本の文化は素晴らしい。けれどあなた方日本人は政治的には世界にいかなる貢献もしていない。日本の首相には、世界がどうあるべきか語った人はいない。日本は政治的に単なるアメリカの属国、衛星国である。

 

安倍首相が議長を務めたG20サミットが終わった。政権は自画自賛するだろう。

だが現実はどうだ。事実はどうだ。トランプ大統領が言い出した、在日米軍に対して、日本はもっと金を支払え。