ネズミ退治

 二日前に久しぶりの雨が降って、やっと乾燥した畑がうるおった。まいた黒豆が少ししか芽を出していないから、もう一度芽の出て来ないところに種を播いた。そこへ雨が来たから、これで何とか新しい芽が出て、いくらか収穫できるかな。
 今年は梅の実がたくさん採れた。昨年も一昨年も不作だったから、うれしい。ニンニクとタマネギを収穫した。冬の終わりごろに尿素追肥をやるとよく育つよと、秀さんから聞いていたが、やっぱりそのころ畑から足が遠のいて、追肥を怠ってしまったから、ニンニクもタマネギも、玉が小ぶりだ。
 冬の間、ネズミは地下に穴を掘り、庭の畑は穴だらけだ。その連中が春からこっち我がもの顔になってきた。昼間もクマネズミの姿を見ることがある。地面を掘って物置に侵入するやからもいる。そこで超短波を出してネズミを忌避させる簡単な装置を、ホームセンターから買ってきて物置に置いた。これは効き目があったのかどうもよく分からない。猫がいればいいのになあと思うが、ご近所では飼っていない。ところがある日、どこからかやってきた猫が庭にいる。その様子は、獲物を探すしぐさだ。捕ってくれよ、と期待していたが、猫はまたどこかへ去っていった。フクロウがいればなあ。
 整骨院で治療してもらっているとき、院長さんとの会話は、ネズミ談議になった。
「サツマイモをつくったときは、ほとんど土の中で食べられましたよ。ニンジンも全滅。お隣の家では、一か月ほど留守でいなかったら、家の中をネズミが我が物顔で走っていたそうで。」
「へえ、そんなにネズミがいるんですかあ。それはご近所といっしょに退治しなければいけませんよ。」
 院長さんはあきれて言う。
 とうとうネズミ退治に取り掛かる。以前買ってあった殺鼠剤を使って、昼間に仕掛けた。賞味期限切れの油揚げを使い、粉薬と小麦粉をまぜたのを油揚げにまぶして、置いた。すると三か所置いたのだが、夕方見ると、一か所はぺろりと食べてしまって、空き箱だけ残っていた。
 翌日、油揚げ無しで、サラダ油の使用済みを少し使った。これは何の反応もなし。油揚げがよほどおいしいのだな。
 今日は店でいちばん安い油揚げを買ってきて、それをまた仕掛けよう。